(三)-4

 ヨギョンは少しずつ、すり足でテロリストに近づいていった。

「や、やめろ、こっちへ来るな!」

「武器を置け」

 ヨギョンが英語で言ったが、続けてメグが日本語で言い直した。

「ふざけるな! 政府の犬め!」

 そう日本語で言うと、テロリストは銃口をヨギョンの方へ向けた。その直後、銃声が鳴った。テロリストが手にした拳銃の銃口の照準と射線がヨギョンを捕らえる前に、拳銃は天井に向けられることになった。それはテロリストの腕が上を向いたからだ。というのも拳銃の銃口が船員のこめかみを離れた瞬間に、テロリストの額にヨギョンとエレーナが引き金を引いて放った小銃の弾丸が命中し、その体が後ろにのけぞるようになったからだった。


(続く)

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