(三)
メグたちが操船室に入るときには抵抗に遭わなかった。しかし入るとテロリストがいた。ただ銃口をこちらに向けたり発砲したりはしてこなかった。
テロリストの手にある拳銃の銃口はメグたちに向けられる代わりに、この船を運行しているアジア系の船員のこめかみに強く押し付けられていた。タガログ語で命乞いをしていたその船員は、白い帽子を被っていたので恐らく船長だと思われた。
「動くな!」
テロリストが日本語で大声を出した。勇ましいセリフの割には声が震えていた。それ以上に船員のこめかみに銃を押し付けている手の方が震えが大きいように見えた。このテロリストも、銃を持つ経験があまりないのだろう。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます