(一)-7

 端の通路の先に一人の男が銃をこちらに向けていた。銃を構えるというよりただ持っているだけだった。メグたちの姿を見て引き金を引くものの、構えた銃の銃口はすぐに上を向き、弾はメグたちの頭上を抜けていく。男は明らかに銃を使う訓練をしていない素人だ。狙いを外しているのに引き金を引きっぱなしで、小銃はフルオートのまま使っていた。ミーティングにあった、東日本で最大のテロ組織「平和安全護持会PeSKA」のメンバーだろう。

 そして銃声が二発鳴り、弾はこの男の腹を撃ち抜いていた。男は倒れた。コンテナの上の僚友からの射撃だった。

 すぐにエレーナが倒れた男に近づき、男の小銃を蹴飛ばした。小銃は通路の踏み板から船倉の空いたコンテナスペースの下に落ちていった。

「すぐに追いつく、先に行け」

 コンテナの上から隊長にそう言われて、「よし、私たちは前進する」とヨギョンはメグの肩をポンと叩くと、通路を進んで行った。メグもそれに従ってついていく。


(続く)

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