第4話 彼女

「ふとまゆ」にとって。

彼女は特別な存在だった。


意識したことは無いけれど。

気づいたら、視線は彼女を探している。


名前は無い。

この物語では便宜上「長いまつげ」と呼ぶことにする。


「長いまつげ」も「ふとまゆ」が好きだった。


いや。

この時代。


好きとか。

嫌いとか。


意識はするけれど。

それを表現する言葉は無い。


只。

シンプルに。


ゴッホォ。

と。


吠えるだけなのでした。

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