石器時代の恋

進藤 進

第1話 ゴッホォ・・・?

「パオォッー・・・」

巨大なマンモスが反りかえった牙の下にある口から、大きな声で叫んだ。


「ゴッホ・・ゴッホォ・・・」

毛むくじゃらな顔をしかめ、男は揺さぶる動きに耐えていた。


名前は無い。

強いて言えば、眉毛が太いので「ふとまゆ」。(笑)


マンモスの背中に刺した石槍を懸命に掴みながら、振りほどかれないようにしがみついている。


今日の狩りは大物と出会えた。

いつもなら、小さい猪くらいなのに。


この巨大なマンモスを仕留めれば。

今年の冬は安心して過ごせる。


村のために「ふとまゆ」は命を懸けて。

マンモスに挑むのだった。

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