推しは旦那様のお姉様
天石蓮
第1話 私、めっちゃ幸せです!
暖かな日差しが、ふんわりとくせのある亜麻色の髪を照らしている。
エルジュは、楽しそうな表情でペンを紙の上に走らせていた。
お父様、お母様、お元気ですか?
私は元気です。毎日、幸せを感じています。
本当に、このリーフデ家に嫁いで良かったと思っています。
旦那様のお姉様、ヴィオレッタさんが素敵すぎて、死にそうです。
ヴィオレッタさんの、神秘的な紫色の瞳を細めて微笑んだ時の破壊力、とんでもないです。
ヴィオレッタさんの、艶のあるサラサラの銀髪が風に吹かれてたなびく様は、妖精の羽が羽ばたいているようで、美しいのです!
ヴィオレッタさんの、形よい唇を彩る真紅の口紅……!私だと、真っ赤な口紅は浮いてしまうのに、ヴィオレッタさんだとそこに薔薇が咲いているかのようなんです!
毎日幸せです。主に目が。あ、耳もでした。
知ってますか?ヴィオレッタさんは、声も美しいのです。私と違ってほんの少し低い声をしているのです。大人の余裕を感じます!
両親に伝えたいことを書き切ると、ペンを置き、ふぅと息を吐いた。
「あぁ、明日のお茶会が楽しみで仕方がありません……」
明日は、大好きなヴィオレッタと一緒にお茶会をするのだ。旦那様から色々聞いて、ヴィオレッタの好きな紅茶とお菓子を用意している。
両頬に手を添えてうっとりとするエルジュ。
エルジュは、初めてヴィオレッタと会った時のことを思い出していた。
結婚する前に家族で顔合わせした時に初めてヴィオレッタと会った。
エルジュは一瞬でヴィオレッタに釘付けになった。
スラリとした背。サラサラの銀髪に、切れ長の神秘的な紫色の瞳。そして、女性的なボディライン。
凛とした美しい佇まい。アメジストのネックレスをつけたほっそりとした首が何だかえろい。微笑んだらめちゃめちゃ可愛い!
エルジュの好みドンピシャの女性だった。
エルジュは自身の見た目があまり好きではなかった。
低い背丈。くせ毛の髪。丸顔にまんまるな瞳。そして、こぢんまりとした胸……。動物に例えると、ほとんどの人が「子犬っぽい」と言ってくる。
エルジュは幼い頃から、大人っぽい素敵な女性になりたいと夢見ていた。
理想とかけ離れた成長をしていくほど、大人っぽい女性への憧れは強くなっていった。
成長期が終わり、どう頑張ってもかつて夢見た理想の女性になれないとわかったエルジュは、自分好みの素敵な女性を眺めるのが趣味の一つになっていた。
リーフデ家に嫁いだエルジュは、ヴィオレッタと仲良くなろうと日々、模索するのが生きがいになっていた。
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