roomlight 2

@jo_kak

第1話

誰にも知られない場所

誰も知らない時間 それは秘密のドア

招き入れるあなたの熱を帯びた目

身体を滑り込ませて鍵をかける 

時間を惜しむように愛撫が始まる


ずっと待っていたよ

そんなふうに言わないで

どんな形の愛でもいいと言うけれど

すぐにきっと嫌気がさす


美しいあなた

シャツのボタンに手をかけると

恥ずかしそうに目を伏せる

脱がされたことがない人のように

動かないで

これはルール


柔らかなデニムの上から

指の背でなぞる

耐えられない?

早くして欲しい?


跪かせて

一糸纏わぬ身体に目隠しをした

初めは笑っていたけれど

本気になるまで間はない

頬にかかるシルクのタイと

開いた唇が私を妖しく誘う

すでに身体中が騒めき

官能の扉は開かれた


吐息が肩にかかる

髪に触れながら

首すじから胸へと唇をうつす

温かく乾いた肌の香り

深く息をして 

急がないで 

期待で紅く染まる胸元

これからおこる

もっとも 

いやらしいことを 

想像してみて


腕をとりベッドに縛りつけた 

不安定な私たちの関係のよう 

すぐに壊れてしまう 

その危うさに昂って


あなたは目隠しを解いてとせがむ

今は自由にさせない

これはプレイ


私の指はビロードの花茎に沿う 

蜜はダイヤのよう

何度も行き来して


柔らかな舌で唇を濡らす

見ている私に

それがどんな刺激を与えるか

わかっていて

もっと欲しいと言って

早く行かせて欲しいと言って

喘ぐ声を口づけで塞ぐ

私の心の中の何かが外れた

愛欲の果てに何があるのか

何かがあるのか


もうあなたは我慢が出来ず

首をふって早くとせがむ 

目眩に襲われながら彼をみる


何て美しい性愛の虜 

そのためなら何だってするつもりでいる

恥ずかしげもなく

欲深く

すべてを食い尽くしたいかのよう

めくるめく快楽のすべてを

あなたにあげる 


私は両手を添えて花を味わう

舌はあらゆるところへ差入れされた 

あなたは声をあげて 

自由を奪われた身体が粟だった


間もなく

私は彼を寝かせ

ゆっくりと受け入れる 

その瞬間 

目隠しを外し彼の瞳を捉える 

上気して瞳孔が開いたまま

呑み込まれるのをただ見つめている 

息も絶え絶えに愛していると言いながら 


気をもたせるように腰を浮かせて 

始めは浅く 次に深く ギリギリまで

長くよるべない 苦しい駆け引き

せきたててはいなし 

高みにのぼるまで


突然の閃光


達しても何度も

熱に浮かされたように

快感に身を委ねて

もうここがどこかもわからない


あなたは恍惚として微笑み

永遠を得たようにやがて微睡む


満たされてもすぐ足りなくなる

あなたを得たと思った今はもうここにはない

繰り返される逢瀬は

やがて擦り切れる

不毛だとわかっているのに

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