カクヨムの作品ページの仕様が変わって考えられること

赤木悠

カクヨムの仕様が変わって考えられること(カクヨムコンテストに向けて)

 2023年11月28日にカクヨムから作品ページのリニューアルが発表された。

 https://kakuyomu.jp/info/entry/2023/11/28/145212

 正直、カクヨムコンテスト直前のこのタイミングでデザインが変わるとは思っていなかった。

 戦略の見直しが必要になってくる人もいるのではなかろうか。

 かく言う私も短編の方のコンテストに参加しようと思っていたので、カクヨムコンテストと作品投稿者にどのような影響がありそうか、簡単に考えてみたい。


 だらだらと書くつもりはないので考えられる影響を箇条書きで書き、そこに関わる考察を付け足したいと思う。

 ちなみに、この考察はPC版のデザイン変更について考えたものであり、スマホ等の場合は考えていない。また、カクヨム運営を批判するつもりがないこともここに記しておきたい。


【リニューアルによる作品投稿者への影響】

 ①見出し紹介文の重要度UP

 ②各話の書き出しの重要度UP

 ③タグの重要度Down

 ④概要文の重要度Down

【コンテスト投稿作品の傾向と懸念】

 ⑤Web小説特有の間を開ける文化がさらに広がりそう。

 ⑥数百文字の短編小説はコンテスト不利?

 ⑦垢BANの増加

 ⑧長編コンテストにはそこまで影響はなさそう


 次に、各項目について考えたことを少し述べていく。

 ・①②③④について

 作品のホーム画面のデザインが変わったことはかなり大きな意味を持つのではないかと思っている。

 カクヨム運営からは、『目的のエピソードを見つけやすいように、目次の大幅な見直しを行いました。これは幅広いジャンルの作品が投稿されるようになり、エピソードが100話を超すような長編作品が増えてきたことへの対応となります。』としてあるので長編作品の読みやすさを意識したホームの改編だったのだろうと考えられる。

 https://kakuyomu.jp/info/entry/2023/11/28/145212


 この変更で③④のタグや概要文が一発で見えなくなってしまったため、こちらの重要度は相対的に下がったのではないかと考える。個人的に④の概要文が一発で見れなくなったのは痛く、そこに別作品のURLなどを貼っても目につきにくくなってしまった。

 逆に最初から目に見える作品の紹介が①の紹介文だけになってしまったことで、紹介文の重要度は相対的に上がり、②に関しては i  のボタンを押すことで話の冒頭が読めるようになったため、各話の書き出しでどれだけ人を引きつけられるかが重要になってくるのではないかと考える。


 ・⑤について

 ②で話の冒頭が見られるようになったと書いたが、これによりWeb小説特有の行と行の間を開けた作品が多くなることが予想される。どうやら、行を開けずに書くか、開けて書くかで i を押したときに読める文章の文字数が変わっているようである。i を押したときに内容を読ませすぎないように行間を空けた作品が特に短編部門では多くなってくるのではないかと予想する。

 一方で行間を空けすぎていても問題だと思っていて、今回のデザイン変更は編集部の作品の審査効率化のためも理由の一つなのではないかと考えている。わざわざ下にスクロールすることなく i を押せば、書き出しでどれだけの力量の作品なのかを判別できるため、コンテスト作品数が毎年増加しているカクヨムコンテストの審査の効率化をしているのではないか。だとすれば、行間を空けすぎてスカスカになった作品を見たくなるかといわれればそうではない気がする。


 ・⑥について

 今回から短編コンテストは400字から応募が可能になった。しかし、前述の②の通り冒頭が i ボタンで見られるようになったため、下手をすれば400字のうちの大半が i で見ることができてしまう可能性がある。しかもだ。なんと一話だけの作品だと、 i ボタンを押さなくても最初から冒頭の文が見えるような仕組みにしてあると言うではないか。

『作品内に含まれているエピソードが1話のみの場合は、タップしなくても試し読み部分が開いた状態で表示されます。 短編や連載したばかりの作品でも、エピソードページへ遷移することなく本文をすぐに読めるようになりました。』

 https://kakuyomu.jp/info/entry/2023/11/28/145212


 これは777字の私の作品だが、ホームの段階で作品の2/3ほどを見ることができてしまっている。https://kakuyomu.jp/works/16817330653911461895


 コンテストの最低文字数の引き下げは、400字程度の超短編作品の中でも面白いものを見つけようというカクヨム側の思いなのかも知れないが、i で作品の冒頭が見られることが悪い方向に働いてしまってる気がする。


 ・⑦について

 ⑦についてはどちらかと言えば注意喚起である。


 本文を読まずに内容が分かると言うことは、読んだ気になって星をつけて垢BANになる人も増えるのではないかと予想する。もちろん作品をちゃんと読んで評価したのなら問題は無い。ただ、悪気がなくても冒頭だけで作品を読んだ気になり、星をつけたりすると垢BANされる可能性がある。自作品で試してみると、i を見ただけではPV数は増えないらしいので、PVつけずに星をつけているとなるとBANの対象になったりするかもしれない。

 星爆さんが垢BANされるのは良いが、間違えて垢BANされるのはたまったものではないだろう。特にコンテスト期間は多くの人の作品に訪れると思うのだが、星爆に間違えられる可能性もなくもない。気をつけたいところである。

 念のため誤解の無いように言っておくと、星爆はもちろんやめて欲しいし、星爆になって欲しいという訳でもない。作品を評価してあげるときは気をつけてね、というだけの話である。



 ・⑧について

 ここまでページ改編の悪いところを語ってきたが、長編作品にはそれほど悪影響はなさそうな気がしている。運営も読者が長編作品を見つけやすいようにしたといっているように、何十話もある長編作品を探すのに②の機能は便利だし、短編ほど内容の大半が②で読めてしまうという事態には陥らなそうな気がする。



【まとめ】

 長編コンテストは読者目線読みやすくなるため、長編作品にとってはそれほど悪くない変更だったのではないかと思う。

 一方で、短編作品は不利な要素が多くなりそうな変更だった。特に、今回の短編コンテストは400字から応募できるにもかかわらず、その大半をPVをつけずに簡単に見れてしまうため、冒頭を見て読みたいと思わせる、より質の高い作品が求められるのではないかと考える。


 とはいえ、我々は与えられた状況下の中で何ができるかを考えないといけない。このように作品ページが変更されたとしても、作品が文句なしに面白ければ作品は受賞するのだと思う。一番は、やはり面白い作品をつくることが受賞への近道なのではないか。

 

 私も作品を応募するつもりなので是非見に来て欲しい。


 1年で1度の祭りをみんなで楽しもう。




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