サンタデコルテ(4)(2023/12/24)

 しーっ、静かに。娘が眠っているんだからね。

 穏やかな眠りだ。規則正しく上下する布団に、ない涙腺が緩むパパ。

 その枕もとにそっとプレゼントを置く。本当はマフラー姿も見たかったが、妄想のできる男はぐっと我慢。今は目の前のことに集中、集中。

 すやすや可愛らしい寝顔を目に焼きつける。

 なによりも大事な娘を目に焼きつける。

 このときばかりは実体のないユーレイでよかったと三田みつだは思う。彼女の幸福な夢を妨げることを心配せずに済むのだから。

「デコルテだいじにね」

 パパもママも、首の皮いちまい繋がっただけじゃあ、生きてゆかれなかったんだ。けれども娘のデコルテは、きっと、そのラテ色のマフラーが守るから。

「幸せに生きるんだぞ」

 もう一度だけ娘の寝姿を見つめ、それからえいっと夜空を向く。その先にある宇宙を向く。

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