百合の寝台

柳川麻衣

1

 開けた箪笥の抽出に肘をつき、色とりどりの花畑のような下着を眺めて、裸のままゆりのは迷っていた。どれを着けていくか決められない。熱いシャワーで火照った肌は、冷めてかけている。

 今日はきっと久しぶりで下着姿を人に見せることになる。ふわふわのフリルをあしらった白の無地が清楚でいいだろうか。いや、白イコール清楚という発想は安直すぎる。桃子が肌に映えて色っぽいと褒めてくれた、アンティークゴールドに紫紺の刺繍のブラジャーを合わせてみるが、過剰に艶めかしく見えて怖じ気づき、ゆりのはそれを戻した。

 桃子は今、どこで何をしているのだろう。今でもあの店、リ・ドゥ・リスで働いているのだろうか。あんなことがあったから、辞めてしまったかも知れない。再々婚している可能性もある。……そして、蓮実は。蓮実はどうしているだろう。

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