20.I3-4
水谷との一件の後、インターバルでは恒例となっていたミーティングへの招集メッセージが届き、会議室へと足を運ぶ、
「恐らくこれが最後のミーティングだろう」
日比谷はいつものように険しい顔をしている。
「この会議室も随分とスペックオーバーになってしまったな……」
日比谷の言うとおり、会議室は、空席の方が多くなっていた。
幸い、生存者は全員参加している。水谷も白川さんも何食わぬ顔で参加していた。
「確かに人数は減ってしまったが、まだこれだけの人間が残っている。もう必要以上に何かを言うことはない。どうか次の試練をより多くの人間が乗り越えてくれることを望む」
皆が日比谷の言葉を沈黙にて了承する。
「うむ……チームについてだが、この人数であれば、もはや分ける必要はないだろう。最後は全員で一つのチームとしたいと思う」
俺、友沢、水谷、早海さん、宇佐さん、日比谷部長、王さん、
ここまで生き残ってきただけあって、生命力の強そうな個性豊かなメンバーが揃っている。
金井崎課長、土間課長、横之内さん、鮫上さんの四人は前回の別働隊のメンバーだ。
金井崎と土間は、水谷同様のエリートで、いわゆる最早組だ。
俺達の世代よりも三つか四つほど上の年次になり、先輩に当る。二人とも水谷と同じく、日比谷から気に入られているようで、水谷にとっては出世のライバルであったとも言えるだろう。
そこまで、二人について詳しいわけではないが、金井崎は頭が切れるタイプ、土間は熱血タイプといった印象だ。
「他に何か伝えておきたいことがある者はいるか?」
日比谷が暗に会議の終わりを告げる問い掛けをする。いつもはだいたいその問い掛けに沈黙で答えるが、今日は発言を希望する者がいた。
「ちょっといいですか?」
水谷だ。
「構わない」
日比谷が発言を許可する。
「月村次長の件についてです」
「……何かわかったのか?」
「はい、月村次長を殺害したのは…………私です」
……
水谷は告白した。母親の件は説明しなかったが、自身が生き残るために魔が差してしまったことを述べ、謝罪した。
「本当に申し訳ございませんでした……」
「……その言葉は、月村さんに言ってやるべきだったな」
日比谷は穏やかな口調で述べる。
「はい…… また、この謝罪自体も、とある人物にこれを看過され、口封じを返り討ちにされた結果、行うに至りました……」
「……そうか……水谷を返り討ちにするとなると、人物は、随分と限られるが……」
水谷め……言わんでいいことを……
「……あのような状況だ…… 魔が差してしまうということは、理解できる…… この件は不問と……」
「いいんですか!?」
「!?」
「本当に不問としていいのでしょうか? 部長!」
日比谷が水谷を許そうとする旨を告げようとすることに対して、日比谷の隣りに座っていた土間が疑問を投げかける。
「部長はこの件について、犯人を絶対に許さないとまでおっしゃられていましたよね……?」
「……」
日比谷は数秒、沈黙する。そして、ゆっくりと口を開く。
「……確かに土間の言う通りだ…… 水谷……お前には責任は果たしてもらわなければならない」
「え……?」
「水谷……お前を処刑する」
「っ!?」
水谷は覚悟はしていただろうが、急な風向きの変化に、目を見開いて驚いている。
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