第95話
「真龍帝位になります!」
朝食堂に入ってくる時にりんなはそう言った。みんなに聞いて欲しいと思って。
「やっと決意したんですね。一緒に頑張りましょう!」
まりあが近づいてきて、興奮していた。みことにずっと真龍帝位になるように言われてるのを見ていて、色んな人が苦々しく思っていたが、まりあだけは真っ直ぐ受け止めた。
「今日から一緒に頑張るんですね!先輩!頑張りましょうね!!」
その日からまりあとご飯を食べるようになった。孤立していたりんなは少しづつまりあのお陰でみんなと仲良くなっていった。
ある時みことが疲れきってるので聞いてみた。
「もしかしてまた時を戻したの?」
みことの時間移動は自分の体に乗り移る方法なので、自分が居ない時には戻れない。自分の体がない所に戻ろうとしたら魂だけじゃなく物質の移動となるので、その場所に何かあれば核融合してしまう。それは世の中を壊滅させることになるから、安全な魂の移動だけにしていると言っていた。
「りんなに説明してから。もう何回目だろう。巻き戻したよ」
りんなは溜息をつく。今の努力では足りない。何か決定的な何かがないと。ゆねみの力を貰っているのに真龍帝位になれないのはおかしいのだ。
その為にみことは力を削って時を巻き戻す。りんなの中でまだ迷いがあるのだ。だから本来使える力が使い切れてない。みことはそれを言わない。
りんなはもどかしかった。でも自分のせいだからと悩んでいた。こんなにみことの力を使わせて。苦しかった。
ある日多槻がまりあと話してるのを見た。大昔にみた、ゆねみのなかで見た笑顔をしている多槻を。そして自分にその笑顔は向けられてないことをはっきりと自覚して。みことの元に向かった。自分は本当に愛されてない。本当の意味で理解して。勉強を教えろと泣いて頼んだ。
みことは優しく教えてくれた。泣きながら教えてもらった術式は忘れられない物になった。
りんなはゆねみから生まれた別人。似てるけれど異なる存在。似てるからこそ、多槻は受け入れられなかった。
苦しくても受け入れないといけない。りんなは勉強しながら、気絶していた。色んなことを考えて勉強を詰め込んで。みことはりんなを抱き上げてりんなの部屋に連れ戻した。みことにとってここ何千年はりんなの事だけを考えていた。恩があるとはいえ、年数を重ねすぎだとは思った。何回も巻き戻してるある時、真なる神に聞いたのだ。第一神としてこれは良くないことなのかと。真なる神は笑って人間の為になるように進めばいいと。第一神が間違っていたら雅臣が神殺しの剣を使うだろうと。創世神は父親なので、真なる神を戻すために必要な存在だったので、断罪出来なかったと。だから思うがまま進めと。
りんなを生かせたい。ただそれだけの為に。今は生きようと思ったのだ。創世神から2度力を奪っている。そうすると、何故か分からないけど創世神の2人分の力を得たのだ。これは誰にも言ってないが、おかしい。力は1つの筈なのに。理由は分からないが莫大な力を得たから、何度も時を戻せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます