幼馴染をいかにもチャラそうな男にかっさらわれた陰キャボッチ、ひょんなことから学年一の美少女とラブラブになる。やればできるとわかって後悔してももう遅い。
第2話 幼馴染を寝取られた僕、何故か学年一の美少女に惚れられました。その一
第2話 幼馴染を寝取られた僕、何故か学年一の美少女に惚れられました。その一
その日は、劇場版アニメの公開日だった。
今はちょうど春休み。僕は浮かれた気持ちで家を出た。
映画館までは電車で一駅、そこからさらに市電に乗って市街地へと向かう。
前売券はすでに買ってある。もちろん特典付きのやつだ。
「
思わず独り言を呟いてしまう。
有紗も結構オタ趣味があるから、思い切って誘ってみたのだけれど、その日は友達と出かける予定があると言われてしまった。
さっき、家を出て有紗ん
有紗は昨日から
「
女の子二人で大阪の
劇場版『
満足しながら帰りの電車に乗り、最寄りの駅に降り立ったところで、僕は有紗の姿を見かけた。
特徴的なポニーテールは遠くからでも一目でわかる。
有紗たちもちょうど帰って来たところなのかな。
「
声を掛けようとして、僕はその場で固まった。
有紗は、男と腕を組んでいたのだ。
「げっ!
有紗も僕に気付き、顔をしかめる。
「映画を観に行ってたんだよ。それより有紗! どういうことだよ! 小坂さんと遊びに行ったんじゃなかったのか!?」
僕がそう詰め寄ると、有紗は気まずそうに、
「仁美も一緒だよ。ほらそこに」
そう言われて僕も気が付いた。
腕を組んだ二人の
ショートボブの少女・小坂仁美さんは、やはり背の高い男と腕を組んでいた。
僕らと同学年――高校一年で陸上部の奴だ。名前は「
そして、あらためて有紗と一緒にいる男を凝視する。
やはり同学年でバレー部の男子。確か一年生ながらエースアタッカーを務めているとか何とか、聞いたことがある。
名前は確か、
要するに、小坂さんと遊びに行くという名目で、それぞれ男連れだったってわけか。泊り掛けということは、当然昨夜は……。
「そ、そいつとヤったのか!?」
「はぁ!? 馬鹿! こんなとこでそんなこと
有紗が顔を真っ赤にして怒鳴る。逆ギレか!?
「ぼ、僕というものがありながら、そんな奴と……!」
それに対し、有紗はすぅっと真顔になって、
「は? あたしが彼氏とナニしようと、あんたには関係ないでしょ?」
「か、彼氏!? だ、だって、僕と君とは将来結婚しようねって誓い合った仲じゃないか!」
「え、そうなのか?」
高橋が真面目な顔で有紗に尋ねる。お前はちょっと黙ってろ!
「……ええっと、それ確か幼稚園の時の話だよね? そんな昔の話蒸し返されても知らないって」
「そんな! それに毎年バレンタインデーにはチョコだってくれてたし!」
「いやいや、あれ思いっ切り義理チョコなんだけど? ……え? あんたもしかして、あたし以外の誰からもチョコ貰ったことないの?」
眉を
僕はその場にいたたまれず、彼女らに背を向けて走り出した。
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「寝取られた」というのはあくまで佳宏の主観です。
なお、有紗が最初焦っていたのは、佳宏の口から親に伝わることを懸念したからです。
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