CM おねだり





「…………なあ、ここはいつもこんな様子なのか? 人が全然来ないけど」



 言いながら、エリックが見るのは作品のPV。

 穏やかなそのグラフはいつも以上に少ない数字を叩きだしていた。

 

 顔の表層に微細な心配を浮かべるエリックに、しかしミリアはけらけら笑い応えるのである。


 

「まーねーっ。この話って《今の流行り》じゃないしね。若い人は転生系にながれちゃうよね~。王道ファンタジーなんてこんなもんだよ~」


「……大丈夫なのか?」

「それはご心配なく〜。愛されて二か月。小さな閲覧でも嬉しいんだってさ~」



 ゆるゆる他人事で答えるミリア。

 ミリアの言うことがいまいち掴み切れず、微妙な危機感と疑惑を醸し出すエリックの前、ミリアはぺろりと手を出すと、



「────と、言うわけで」

「ん?」

「──ブクマと☆。おねがいしまーす♡」

「はっ?」


「ここまで読んだよね? 読んだでしょ? 楽しくなかったとは言わせない♡ はい、ブックマークに☆みっつ♡ 入れて♡」

「…………ちゃっかりしてるな…………」


「このメモ用紙に書いてあるんだもん。ハイ入れて今いれて、はい!」

「……あのなあ、俺に言うのか? それに、そういうものって強要するものじゃないと思うけど?」


「……で、ブックマークと☆って、何の話だと思う?????」

「……俺に聞くなよ。そんな単語、きいたこともない。君の話は取っ散らかってるな」


「煩いですぅー」








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