時速50km
鳥取県出身の天身には、雪道の運転経験があった。
しかし、吹雪による視界不良、車道と歩道の境目のわからない道路、ブラックアイスバーンが存在する路面...それらは北海道に来た事で得られた、初めての体験だった。
自分が運転するならば、時速は20km以下に抑えるだろう...必然的に助手席に座る事となった天身は、その速度の危険さを考えた。
。o(これはビビるべき状況だな)
当事者でありながら、まるで他人事のように、客観的な見解が頭に浮かぶ。
2度、自分という存在の放棄を試みた結果、得られた感性だ。
雅代には、急ぐ理由があった。
中標津で待っているのは、仕事なのだ。
簡単に予定を変更したり、断れるものではない。
美幌峠が封鎖されて回り道をするとなれば、遅刻の可能性は相当に高まる。
急げば封鎖前に通り抜ける事ができる。
北海道民である雅代には、天身とは違い、この土地で生きる人間の感覚があった。
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