午前6時

2013年1月27日、天身悠也あまみゆうやは、北海道の北見市きたみしに居た。

午前6時、周囲はまだ暗い。


ネットカフェから出た時、「暗い」だけではない事に気が付いた。

吹雪だ。

さらに、積雪で、車道と歩道の境目がわからない。


鈴木雅代すずきまさよとの待ち合わせ時間が迫っている。

彼女は、車で迎えに来てくれる。


今居る場所から片道3km先のジョイフルで、合流する予定だ。

そこまで行くのに徒歩しか手段がない。

この視界、この状況では、車に撥ねられる可能性がとても高い。



。o(それはそれで一興)



吹雪の中を命懸けで歩く経験なんて、他所ではなかなかできない。

北海道に来た甲斐がある。

もし、その結果が死であったとして、受け入れる覚悟は既にある。



ただ。



雅代に迷惑がかかる。

自分が死ぬのはいいが...。


そう考えた天身は、コガネムシ色の携帯電話を開き、Eメールで雅代にメッセージを送った。

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