第9話 吃音・どもりで疲れたら休んでもいい

■逃げる事が出来ず頑張った過去

私は団塊ジュニアの「ザ・昭和世代」なので、若い頃は「休む・サボる・諦める」事は難しい風潮がありました。

「何でも自分で決めつけて諦めてはいけない。根性で何でもチャレンジだ!」みたいな感じです(笑)


中学生の時、友達が生徒会に立候補する事になり応援演説を頼まれた事がありました。

今思うと、どうやっても無理なんですが(笑)、当時は「もしかしたら出来るかも」と自分を鼓舞しチャレンジしてみました。

結果は散々で、全校生徒の前で見事な「どもり」を披露する事となりました。この時は声が震える感じになり「泣きそうだったね」という評価でした。

これで友達が落選したらどうしよう…と不安でしたが、無事に当選してほっとした事を今でも覚えています。


あの時は「友達のお願い」という事で断り切れなかったのですが、あの時こそ友達にどもりの悩みを打ち明けるチャンスだったのでは、と思います。

恥ずかしくて誰にも相談出来なかったので1人でずっと悩んでいましたが、例え自分の苦しさを分かってもらえなくても誰かに打ち明けていれば、また違ってきたのかもしれません。


■サボったのは社会人になってから

応援演説で痛い目にあったにも関わらず、高校・大学でも相変わらず「根性」は出していたと思います(笑)

世の中的に「休む・サボる」が出来なかったのもありますが、「逃げる」事は考えず「チャレンジしてみよう」と思う事が多かった気がします。

チャレンジするのはいいんですが、やっぱり結果は散々な事が多かったです。その度に悩んで、落ち込んで、切り替えてを繰り返した記憶です。


初めて「サボった」のは社会人になってからでした。社会人2年目となり「新入社員向けに講師をやる」という、これまた無理な話です(笑)

「新入社員向けなので、そこまで緊張しないかも」と最初はチャレンジしようと思ったのですが、この時は「後輩の前で恥をかくのが嫌だ」と気持ちの方が強くなりました。


「どうにかして避けたい」ので色々考えた結果「声が出ない状況になればいいのでは」と考えました。水風呂に入ったりして風邪になろうと試みた記憶です(笑)

結局、風邪はひかなくて、当日「体調不良(仮病)」か「忌引き」で休みました。


初めてサボったにも関わらず、休んだ理由をハッキリ覚えていないぐらい、今となっては小さな出来事になっています。

当時は「初めてどもりから逃げた…」と何となく罪悪感というか、後ろめたさを感じていたんですが。。。


一度サボってしまうと「サボり癖」がついてしまいそうで中々できませんでしたが、正直どもりでの失敗に疲れていたの、思い切ってサボって良かったな、と思います。


■その後もサボる事はありましたが…

「新入社員向けの講師」の後で、サボったというか断ったのは「結婚式での友人代表スピーチ」です。


これはかなり迷いました。仲の良い友達だったので、スピーチしたい気持ちはありました。

新婦側の友人代表なので「感極まって涙声」という事で何とかなるかな、と考えたりしましたが、結婚適齢期にして大勢の大人の前で恥をかくのはかなり嫌でした。


これをきっかけに「吃音改善教室」に通ったりしましたが、結局「人前で話すのは苦手で、大事な式を台無しにしてしまいそうなので」という理由で断りました。

とっても申し訳ない気持ちになりましたが、後から聞くと、新郎側の友人代表が決まらなかったらしく、結果的にはそこまで後ろめたさを感じなくて良かったんだな、とホッとしました。


今思えば「人前で話すのは苦手なので、他の友達とメッセージムービー作るね」でも良かった気がします。

新婦側の友人は新郎の事も知っていたので「二人向けのスピーチ替わり」にもなるし、余興でハンドベルをやったんですが、その時に他の友達と何度も会っていたので、動画を撮ったり編集したりだったら、あの時代でも出来たと思います。


「無理」と思っても「すぐ断る」のでは無く、色々試行錯誤する事も大事ですね。


■疲れた時は休みましょう

悩み過ぎて壊れてしまうよりは、休んだ方が絶対いいと思います。他人からみて「サボり」だったとしても、気にしなくていいのでは、と思います。

しっかり休まないと、次のチャレンジも出来ません。


ただ、ずっと休んだままだと何も変わらないので、そこは気を付けたほうがいいかな、と思います。

個人的な意見ですが、吃音・どもりを受け入れるには、色んな経験が必要だと思います。

色んな経験から自分なりの考えがまとまってきて、最終的に「受け入れる(改善する)」という方向にいくのかな、と感じています。


人間には役割があって、全部をやる必要は無いと思っています。

例えば「新入社員向けに講師をやる」という事は私には出来ませんでしたが「新入社員向けに講師をやる為の準備をする(教材を作成する)」という事は出来たので、他の人が作る教材よりもいい物を作ろうと頑張りました。


普通の人には出来きますが、吃音・どもりを抱えていると出来ない事が出てきます。

でも、吃音・どもりを抱えていても、出来る事は他に絶対あるので、そこを頑張ればいいと思います。

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