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 なんでお菓子セットを提案されて暗礁が手強くなったかと言うと、俺が幼稚園の大きい組くらいのころ、両親からクリスマスにお菓子セットをプレゼントされて大変がっかりしたことがあるからだ。


 お菓子は食べたらなくなってしまう。クリスマスの記念に残るのはお菓子の入っていたブーツ型の袋だけだ。悲しくてギャン泣きしてめちゃめちゃ𠮟られた。当時、理不尽だと思った。


 だからできるなら、食べるだけで終わってしまうプレゼントは与えたくない。


 そんなことを考えていたら、翔平がぴょんぴょんと近寄ってきて、よいしょと俺の膝に座った。こいつスライムのくせに完全に猫だ。

「翔平、おめはどうせばいいと思る?」

 もちろん返事はなく手を甘噛みされただけだった。スライムは強酸性なので痛い。


 いまの光なら、クリスマスというものをそもそも知らないので、お菓子でも喜ぶのだろうか。しかし光は俺の性格を色濃く受け継いだ子供だ。どうせなら俺がモニョらないものをあげたい。


 うーむ。こっちの世界では魔物が出るから木刀か? いまから鍛えれば王都の騎士団にも入れるのでは。でも子供のうちに筋肉つけると背が伸びないっていうしな。


 光は焼き芋が欲しいといったわけで、干し芋とか芋けんぴでもいいような気もする。

 でもそれは俺が満足しないのだ。どうしよう。

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