アドベントカレンダー2023 in異世界秋田

金澤流都

12/3

 異世界では冬がない、というか雪が降らない。年中暖かい。それは秋田県民としては大変ありがたいことである。まあ風情ある冬のお祭りがいくつかパーになってしまったわけだが、それでも雪も寒さもないのはありがたいことだ。


 異世界の攻略本の編纂作業を終えて、俺とあかりはぼーっとした生活を送っていた。あかりの母さんが持ってきた王都騎士団カレンダーは、いまが13月の45日だと示している。しかしテレビではクリスマスムード高まる東京の様子が映し出されていた。


「クリスマスかあ……」


「そんなもん異世界には存在しない。よってなにもなし」


「だばってや、子供のころクリスマスプレゼントもらえば嬉しぐねがったか? 俺よ、光になにかクリスマスプレゼントやりてぇと思っててや」


「はぁ!? 余計な出費がかさむだけだべ。クリスマスはうちとは関係ありません」

 あかりはすっぱりとクリスマスを切り捨てる。


「でもおめ、クリスマスにゲームだの漫画の全巻セットだの買ってもらってあったんだべ?」


「……まあそれは否定できない」


 あかりはしばらく困った顔をして、それから捻りだすように呟く。

「しょうがない。やるべか、クリスマス」

 というわけで、菅原家でもクリスマスが開催されることとなった。

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