不思議な体験をした。でも怖くない話2~心霊編

りほこ

心霊現象1 鮭フレークの瓶

 何から書こうかなと迷ったのですが、出だしから人が見えたとか声が聞こえたとかそういった話を始めると信じてもらえないと思うので、まずは誰もが絶対にあり得ないと感じるであろう体験を紹介します!


 日々の霊障れいしょうに悩んでいた今年の夏の夜のことです。

 もうすぐ10時になってしまう時間帯だったので、息子は寝る身支度をしていました。確か時間割りです。

 自習になったり使用しなかったりで結果的にセーフでしたが、その頃は忘れ物が多かったので内心とても気になっていました。

 でも身支度中の横やりは鬱陶うっとうしがられるだけなので、後でむぎ茶を飲みに来た時にでも訊いてみればいいやと思い、私は息子の部屋の隣にある居間で椅子に座って待っていました。


 異変を感じたのは、そんな時です。


 なぜか私の目には部屋の空気が動いているように見えたんです。

 真夏だったので冷房はつけていますが、その風のせいではなさそうでした。といっても、確かに妙な感覚は肌でも感じます。けれど目と耳でも分かる。そんな感じだったのです。


 この感覚に興味があったのと既視感があったので、揺らめく空気を眺めながら考えてみることにしたのですが、すぐに思い出せました。


 それは、人込ひとごみに居る時の感覚です。


 私1人がその場で佇んでいて、人が前からも後ろからも流れていく、そんな状況がぴったりでした。

 でも人なんて居ません。私と息子だけです。

 私は急に不安になりました。でもちょうど息子が来たので、いつものように振る舞い、そして就寝前の水分補給をしてもらいました。


 ちなみに今回紹介したい心霊現象は、この揺らめきのことではありません。

 これだけだと単純に病気の可能性もあり得そうですから。


 話を戻します。

 息子は異変を感じていなかったので、ひとまず私は気のせいだろうと思うようにしました。


 そして息子は歯ブラシを取りに洗面台へ向かったのですが、自分の部屋へ磨きに戻ります。

 私はその戻って来るまでの隙を狙って、息子の部屋に入りました。

 隙を狙うといっても、息子は自分の部屋に私が居ることを嫌がりません。常に2つの部屋を仕切るスライド式のドアを開けて、私が過ごす居間が見えるようにしておきたい質です。(必死)


 ですがそこで私は気付きます。

 息子の部屋では空気の揺らめきを感じないことを。


 あ、本当に気のせいだったんだと思い、安堵しながらまた居間へ戻ると、なんと揺らめきが始まりました。

 信じ難かったこともあり、めまいがしているだけかもと思って息子の部屋に行きましたが、またしても何も起こらないのです。

 私はまた不安になりました。


 これまでも色んな心霊現象を体験してきたので、まさか霊感が強くなってきているのではと私は焦りで頭が真っ白になりました。

 しかもです。さっきまで私をけて通っていたはずの人の感覚が、今度は私の体を突き抜けていくのです。

 何人も、何人も。


 怖くなった私は、椅子の上で背中を丸めながら頭を抱えました。

 謝ったり、都合よく神様を呼んだりした後、


(私は幽霊を見ない!)


 息子がベッドに腰掛けて歯磨きをしている間、揺らめく空気の中でそう決意しました。

 すると、パッとその現象が消失したのです。


 思わず立ち上がってしまいました。呆気に取られました。でも嬉しさが勝って、不安も吹き飛び、息子が眠った後はルンルン気分で食器を洗いにキッチンへ向かいました。


 けれど、この後です……。


(あ、鮭フレークの瓶めっちゃ乾いてる。一旦いったんここに置いとくか。ヨーグルトカップもしっかり乾いてるね。両方ともお皿洗ってから捨てよう。ルラララ~♬)


 ゴト。


(ん?)


 見つめ合う鮭フレークの瓶と私。


(あれ? 瓶の底は……うん、濡れてない、よね? 置いたところも濡れてないし、まぁいいか……。よしこれで大丈夫。ルラララ~♬)


 ゴト。


(えっ……)


 夏場の乾いたシンクにそっと落ちて来た、鮭フレークの瓶。

 1度目は小首を傾げました。でもさすがに2度目は戦慄しました。

 だって瓶がひとりでに落ちて来たのですよ?


 いやいや、そんなことあるわけないやん笑。どうせ安定の悪いとこにでも置いたんやろ、アホぼけカス。

 ——って思ったそこの奥さん!

 わかりますが、どうか聞いてください泣。


 隣に置いたヨーグルトカップは微動だにしていなかったのですよ……。

 それに不安定な場所でもなかったのですよ……。


 しかも2度目は意識してヨーグルトカップより後ろに置いたのですが、それでも落ちて来ました。


 だから私は、

 きっと幽霊が落として、「居るよ?」って言ってるんだ

 そんな風に考えて怖くなりました。

 ……なんて変ですよね笑。3度目からは落ちて来ませんでしたし。


 とにもかくにもっ、最初のエピソードは「やっぱり今までのことも勘違いじゃないよなぁ」と思ってしまった体験を紹介させて頂きました。

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