♯6 新鮮魚メンバー 後編
バイヤーに呼ばれて、鮮魚の作業場にやってきた。
まな板もぴかぴか、銀色の作業台もぴかぴか。
リニューアルオープンとはいえど、設備類は全部新品になっているようだ。
(
作業場の端っこにある新品の値下げの機械を見て、ついそんなことを思ってしまった。
「
「分かりました。その週の利益については何も言わないでくださいね」
「大丈夫! 大丈夫! リニューアルはどこの店も薄利多売でやるものだから」
リニューアルオープンは、元の店舗の人員に加え、本部からも応援に入ることになる。
店全体がとても活気づくので、ちょっとしたお祭り騒ぎみたいにもなるのだ。
「おっ? 君が噂の新人さん?」
「はい、
「鮮魚部門に可愛い子が来たって他の店でも有名になってるよ!」
「本当ですか! とても嬉しいです!」
「青果部門のほうは泣いてたけどね」
「惜しまれてるってことですよね! それはそれでとても嬉しいですっ!」
さすが
「それに
「はい?」
「ここのサブチーフなんだけど――」
※※※
「おはようございます!」
元気な挨拶とともに作業場にぞろぞろと人が入ってきた。
「じゃあ皆さん。今日は顔合わせということで、宜しくお願いしますね」
みんなの顔を見て、
作業場になんとも言えない緊張感が走る。
「皆さん、いらっしゃいますか?」
「全員揃ってます!」
正面にいる女性がハツラツとした声をあげた。
「それじゃここのチーフになる
「ここの新しいチーフをやることになりました
そう言って頭を下げると、みんなも頭を下げてくれた。
「それじゃサブチーフになる
バイヤーがそう声を出すと、正面の女性が一歩前に出た。
「
はきはきとした澄んだ声で
(あー、この人がそうか……)
鮮魚部門に女性社員はほとんど入ることはない。
会社全体でも両手で数えられるくらいしかいないだろう。
だからか、そういった女性の噂は鮮魚部門にいると耳にすることがある。
今まではその手の話は、全然興味がなかったから気にもしていなかったが……。
「これからチーフになれるように
「うん、そういうことだから
くぅう……なんとなく察しがついてきたぞ。
ということは、
「分かりました。できるだけ力になれるように頑張ります」
俺はそう返事をした。
広がる噂というものは必ずしも良い噂ばかりではない。
俺は
――いつもチーフと折り合いが悪くなるアルバイトあがりの女性社員がいると。
※※※
一通りの自己紹介が終わった。
部門員は全八名になるとのことだ。
◤ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・チーフ
・サブチーフ
・社員
・社員
・パート
・パート
・パート
__________________◢
部門員の名前が書かれた名簿が渡された。
……。
……。
覚えられねぇえええ!
心の中で悲鳴をあげてしまった。
俺って人の名前を覚えるの苦手なんだよなあ……。
責任者として早く覚えないと――。
「
「な、なんでしょうか」
そんなことを思っていたら、早速サブチーフの
それを見た
「……」
大変になる予感がしてきたぞ……。
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