♯23 お店の飲み会と白河さん 後編
「チーフ!
奥のほうに行くと、鮮魚部門の人がまとまって座っている席があった。
「お疲れ様です。
どうやら俺たちのために、前の二席を空けてくれていたらしい。
「お疲れさま~。やっぱり
「お子さんのことがありますからね」
こういう会合に積極的に参加する人がいれば、当然そうじゃない人もいる。
うちの部門でいえば、前者が
「……ところでチーフ、
「へ?」
こ、今度は何故か目元が真っ赤になっている!
「ちょ、ちょっと大丈夫!?」
「あ、あれ……? お、おかしいな……」
「どうする? 無理しないで帰る?」
「絶対にいます!」
心配して声をかけたのに、
「もー、
「あはははは、だって
「……で、その一人の
席にいるのは
「
「ほ、本当にあの人は……」
「鮮魚部門の恥さらしは放っておいて、早くご飯食べましょう。ほら、
チェッカーさん。つまりはレジ係の人たち。
自然と若い女の子が多くなる部門だ。
その中から
「そ、そうですね、
「チーフは何を飲むんですか?」
「俺はウーロン茶でいいかなぁ」
「じゃ、じゃあ私も――」
「真似しなくていいから! 好きなの飲みなよ! ほら、ここにメニュー表あるから!」
とりあえず、セクハラしてきそうな
「
「う、うん……」
さっきの
はぁ……。
青果部門が隣って話を聞いたときから、なんとなくこんなことになる予感がしていたよ……。
※※※
何故か、
「
「うん。明日、普通に仕事だからね」
「えー! けど少しくらいなら!」
「ごめん、アルバイトの子を送っていかないといけないから」
さっきから、
店のエプロン姿しか見たことないが、今日の
大卒の新人さんだから今は二十二歳くらいか。
真っ黒なショートボブに、目鼻立ちが整った綺麗な顔をしている。スーパーにいるというよりは、どこかの女子アナみたいなルックスをしていると思う。
確かにこの子は人気出るだろうなぁ。
受け答えもはっきりしているので、おじさまたちに可愛がられるタイプの女の子だ。
「アルバイトの子?」
「今、俺の隣にいる
「あー! いつも売り場で値下げしている子ですね!」
「こんにちは! 青果の
「よ、よろしくお願いします……」
「可愛いー! 緊張してるの? 今、何年生?」
「こ、高校三年生です……」
俺を挟んだまま、
「……これやったの
「さぁ? なんのことでしょう?」
面白半分にやるにしては、とてもタチが悪いと思う。
「あっ、
「あ、ありがとうございます」
何も知らない
仕事ではダメダメなことが多いけど、こういうときのこの人は本当に癒しだ。
「チーフ、ほら食べて」
「
「どういたしまして~。ほら~、
俺たちがそんなやり取りをしていると、青果部門の
さ、さてはこの人も共犯だな!?
「
「いやぁ、
「数字はたまたまですから!」
くそぅ……どいつもこいつも面白がりやがって。
こっちはこんなことされても全然面白くないっつーの。
「ねぇねぇ、
その質問に、一瞬だが鮮魚部門の時がビシッと止まってしまった!
いや、《ほし》星さんは絶対に何も分かってないけど。
「……」
「
「い、いないです!」
「えー! 可愛いのに意外! じゃあ好きな人とかは?」
年下の同性だからか、
「す、好きな人はいます……」
「えー!? 誰? 同級生?」
「い、いえ……」
気まずい。
ひたすらに気まずい。
ラブレターを貰った相手と、デートに行った相手が恋バナをしている。
なんとも言えない焦燥感が募っていく。
「えっ? じゃあ誰? 学校の先輩とか?」
「いえ……」
「あ、分かった! 近所のお兄さんとかだ!」
「そ、そういうわけでは……」
「んー?」
「そ、そういう
おっ、
「あははは~、それが全然でして。気になる人はいるんだけど」
「き、気になる人!?」
「うん、とっても真面目な人」
!?
いてててててっ!?
見えないところで、
「ほら、スーパーってチャラい人が多いから! うちの
「うるさい!」
その間、
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