2023-11-29

 お守りの中身を出して見たことはありますか?僕はありません。だから、見たことがある皆さんとは話が合わない。

 そうやって、みんなと話をするのを諦めていく。彼/彼女は自分とは違う人種だという自明な命題をひとつひとつ確かめていくだけのコミュニケーションには特に希望が残ってない。

 僕は不必要に完璧主義だと言われる。人生もコミュニケーションも、完璧でなくてもいいと。物事が完璧に予定通り動作することはないし、人と人とが完璧に合致することはないと。

 僕もそれなりに時間をかけて、分かってはきた。

 僕の問題点は、今思い浮かぶものでふたつある。ひとつは自分の解答用紙に及第点をつける前に満点の模範解答を欲してしまうところであり、もうひとつはアンケートに正解があると考えてしまうところだ。前者の問題点では、自分の良かった点に目を配る前に完璧だった場合の人生と自分のそれを見比べてしまうので、間違っている点しか目に入ってこない人生になる。後者では、そもそも正解も誤りもない問いについて、孤独に正しくなさを見出す問答を繰り返すガラクタになる。

 いやしかし、より良くしようとすることと完璧でなくともよいと認めることのバランスは難しい。冷静に見てみれば全く違うものだと分かるが、正しくなさの前に僕は冷静でいられない。狂ってしまう。

 やはり、道を作ることが大切だと思う。車の先端は運転席からは見えず、完璧な行路かどうかは分からずとも、車を擦らずに目的地に近づいている感覚を作ることで、完璧主義を捨てながら良さを見出すことができると思う。

 無理に近づかなくてもいい。目的地が心で見えているだけで、一歩に意味が出る。誰だって、暗闇では自信を持たない。


 お守りの中身は空っぽではないことを知っていましたか?誰だってそう信じている。だから、僕は皆さんと話ができる。そう思います。

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