第19話 天使にされた俺


「とりま依頼達成報告してくんね〜」

「あぁ。」


「レオンさん、アデルさん、Fランクの仕事を20回受けて依頼主からの評判もいいですし、ギルドで冒険者の方たちの怪我の治療もしていただいているのでEランクに昇格です。」

「そうなの?やった!アデル嬉しいね〜」

「あぁ。これからは防壁の外に出る依頼も受けられるな。」

「へー、後で掲示板見に行こうよ〜」

「あぁ。」


防壁の外に出られると言っても街道脇や森の浅いところに生えている薬草を摘んでくる程度だが、まぁそれでも昇格というのは嬉しいものだな。



そしてこんな時に限って奴はやってくるんだ。

悪名高いドランだ。しかも返り血で真っ赤ときた。

恐ろしい。まさかそれは人の血ではないよな?だとしたら俺は全力で逃げる準備はできている。


「おー?レオンどうしたんだ?全身真っ白だな。」

「ドラン〜、聞いてよー

ってドランはドランで真っ赤だねー」

「あぁ、さっきトロール倒してきたんだが、返り血を浴びた。」


トロール。その血は魔物の血だったか。人間ではなくホッとした。


「なるほど〜?

トロールって魔物だっけ?ドランは今日も戦ってたんだね〜

あ、服が真っ白になってもいいなら浄化かけてあげるよー」

「は?服が真っ白?嫌だろう普通に。」

「だよね〜」

「で、なんかあったのか?」

「今日も野菜運んでたんだけどさ、後ろ向いて歩いてたら臭いドブに落ちた。」

「臭いドブ?なんだそれ。」

「あれなんだろ?公園の公衆トイレみたいな超臭いやつ。アデルーあれ何?」


絡まれないように空気と化していたのに、急にレオンに話を振られた。

しかも肥溜めに落ちた話をだ。


「・・・肥溜めだ。」

「だって〜」

「うわ、お前そんなところに落ちたのか?やべーな。」


やべーよ。レオンはいつでもやべーんだ。

昨日も訓練場を更地にしたんだぜ?信じられるか?

しかもエクストラハイヒール使ったんだぜ?俺はそんな人物の頭を毎日洗わされてんだぜ?やべーだろ?と心の中でこっそりドランにやべー話をした。


「でさ、ヒールかけられんなら浄化もいけんじゃないかってアデルが言うからかけてみたら、全身真っ白ってわけ。」

「なるほどな。肥溜めに落ちたにしては臭くないのはそのせいか。それでさっきの服が真っ白になってもいいならって発言なんだな。」

「うんうん。ドラン理解早いねー

で、これから俺がお医者さんやって、アデルは白衣の天使やんの。」

「天使?へ〜、アデル天使なのか。」


ドラン、俺をまじまじと見るな。

俺は天使なんかじゃないし、天使になる予定もない。

怖いからそんなこと言えないが、とにかく俺はいないものとして扱ってくれ。

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