七海1
「はーい」
そう言ってドアを開けると、そこには金髪縦ロールのいかにもお嬢様然とした感じの女の子がいた。
(えっ!?この人が七海さん?めっちゃ美人…まぁそんなに気にすることでもないか。いやでも、こう…もっと丸みを帯びてたらドストライクだったのに)
「ごめんね。わざわざ来てもらって」
そう言って話しかけるが、返事が無い。
七海さんを見ると何だかぼーっとしている。
「七海さん?大丈夫?」
「え、ええ……大丈夫です。それではお邪魔させていただきます」
大丈夫そうなので家に招き入れる。
リビングに通しても良かったけれど、聞きたいこともあったので取り敢えず自分の部屋まで案内する。
自室には来客用の小さい机があったのでそれを部屋の中央に置き、座る用にリビングから持ってきた赤と紺のクッションを置いている。
「そこに座ってゆっくりしててね」
そう告げてリビングでカップにお茶を注ぎ、自室まで運ぶ。
「はい、どうぞ」
そう言って机にカップを置くと、七海さんはどこか惚けた顔で見つめてくる。
「どうしたの?」と、聞くと我に返ったようでそのままカップのお茶を一口飲んでほっと一息吐くと口を開いた。
「いえ、何でも……。それより華恋さんは今日はどうしてお休みだったのですか?」
「今日は朝少し体調が悪かったから、休んだだけだよ」
予想していた質問なので自然に答える。
しかし、内心はビクビクしていた。
(大丈夫だよな?一応女性らしい振る舞いを意識してるけど以前の俺と違うって気づかれてないよな?)
ほっとしたのか、安心した表情になった後すぐに表情を切り替えて尋ねてきた。
「本当ですか?それにしては、今日の華恋さんはいつもと様子がおかしいのですけれど。NYAINの返信もなんだか違った様子でしたし」
そう言ってななみさんは、ジッと見つめてくる。
その圧につい目を逸らしてしまい、取り繕うように質問する。
「そんなに変わったかな?逆に前の私ってどんな感じだったの?」
「まだ一ヶ月の付き合いなのでそんなに詳しくは知りませんが、以前の華恋さんはいつも鋭い眼差しで何人も寄せ付けない雰囲気をしていました。言葉遣いも今よりも堅く他人行儀でしたね」
「そ、そうなの!?じゃあ今の私って変かな?」
「いえ…今の華恋さんも良いと思いますよ。ただ……学校では控えた方が良いと思います」
「えっ何で?」
「こほんっ!何でもです!そんな感じで学校に行くとすぐに……いえ、何でもありません。兎に角、その姿と態度は私以外の人に見せてはいけません。いいですね?」
「えっはい……」
何だか物凄い剣幕で言われたので、取り敢えず頷いておく。
(まぁここまで言ってくるんだし、学校では何か不味いことでもあるのかな?)
「まあ、元気みたいで良かったです。これお見舞いです。もし良かったらこの後にでも食べて下さい」
そう言ってななみさんは、ゼリーとポカリーの入った袋を渡してきた。
「ありがとう。折角来てくれたんだし、もう少しゆっくりしていって。それと少し聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「ええ。私で答えられるものなら良いですけど、何か気になることでも?」
「うん、少しね」
(何から聞こう。アレにするか)
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