増
「1日1錠を目安にしてください。一応、2錠までは飲めます」
今飲んでいる薬を処方された頃、担当医に言われた言葉だ。
この薬に出会ってから、発作が起こる事はなくなった。
発作予兆が起きた時点で服用すれば、2,30分もすれば落ち着いてくるのだ。
副作用として足元がフラフラしたり、集中力が落ちてしまうが、死を連想してしまう発作が起こるよりもはるかにましだ。
しかし、人間と言うものは欲深いもので、次の事を考えてしまう。
「もう二度とこの薬から抜け出せないのだろうか」
理想の断薬は”気がついたら薬を飲まなくなった”だ。
私も調子がいい時は、2日くらいは飲まなくてよかった事もあった。
このまま少しずつ減薬すればいい、なんてことも考えられる。
が、発作予兆が起きるとそんなものはすぐに吹き飛んでしまう。
そしてまたフラフラな状態に戻る。
歳を重ねたせいか、慣れてしまったのか、薬の効きが悪くなったのか、理由なんてものを考える余裕はないが、ここ最近は"2錠"飲むことが多くなってきた。
もちろん、これは担当医が言っていた用法用量を守っている。
問題はないはずだ、きっと、絶対。
2錠飲めば副作用も当然のように重くなる。
自転車は調子がいい時以外は乗らなくなってしまったし、電車やバスは人が隣にいても進んで座るようになってしまった。
しかし、人間と言うものは欲深いもので、次の事を考えてしまう。
「最近、腎臓や肝臓の値が悪くなってきた」
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