「目つきが変だよ」


そう言われてから睫毛を抜くのをやめた。

まだ外見を気にするほどの頃に指摘されたから、今はたまにしかやっていない。


一般的に、抜毛症というのは髪の毛が主らしいが、僕はそうではない。

僕の場合は髭や眉毛、脛毛など太い毛がそこらじゅうにあるからだ。

もし、僕が女性か毛が薄い男性であれば間違いなく髪の毛を抜いているはずだ。



歳を取ってくると肌の艶というか脂がなくなってくる。

そのせいもあってか、抜いた後は肌が真っ赤になった後、ガサガサ状になる。

特に今も主だって抜いている脛毛部分は保湿剤を使ってもひどいものだ。

そんなひどさなんてどうでもよくなるくらい、毛を抜きたくはなるのだが。


抜いてしまう癖を無くすためには、同様の刺激が必要になってくる。

爆音で音楽を聞いたり、味の濃いものを食べたり、色々やった。

結果は音楽を聴きながら毛を抜いたり、食べ物片手に毛を抜いたりになったが。



治療はしたほうがいいのかは分からない。

髪の毛を抜いていないから、外に出ても誰にも気づかれない。

髭を抜いているが、このご時世、脱毛をしている男性はいっぱいいる。

そして脛毛は服で見えない。



世間から見れば、僕は抜毛症ではないのだ。

だからこのままでいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る