偽
「用法用量を守ってください」
素直に従えばきっと治るんだろうな
風邪とか怪我とか身体的なものならば
今日は酷く具合が悪いんだ
だからこれは頓服だ
仕方ないんだ
先生だって「そういう時もあるよね」と言ってくれる
顔が笑っていたかどうかは覚えていないけれども
いつも以上に安心するのがたまらない
いつも以上に行動できるのが嬉しい
気がついたら財布が緩んでしまうのがキツイが
でも沢山消費するって人間らしくていいだろう
朝から晩まで布団でうずくまって泣いて泣いて
そんなヒトよりも借金漬けになりながらも
食べて飲んで遊んで最後は破産してしまっても
愚かな人間だなって言ってくれるだろう
布団にいる限り、誰にも知られない
布団にいる限り、人間と言われない
そうだそうだ
それでいいんだ私
でも薬が切れる頃
また布団にうずくまってしまう私が現れる
「用法用量を守ってください」
「ダメじゃないか」
「用法用量を守ってください」
「人間じゃないといけない」
今日も安心
今日も元気
今日も薬で作り上げられた私
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます