雑貨屋『Lucky』
海星
正面扉
第1話 高校3年生
「結月ちゃん、この後ご飯行かない?」
「あー…ごめんなさい。この後用事あって…。また今度誘ってください。」
うちの男性社員と当時高校生バイトだった遊塚のとの会話の一部。
僕は腹が立って仕方なかった。
『自分の店で高校生を喰おうとしてる』とかではなくまた全く別の感情。
むしろ、普段からあの男性社員には腹が立っていた。遊塚と仲良く話してたり、遊塚が笑ってたり…僕に出来ないことをあいつがしてたから。そう…ただの嫉妬。
遊塚が僕の横に座った。
僕は…12個下の遊塚の袖を掴むので精一杯だった。自分の感情がどんな名前のものか分かってたから。でも、相手は高校生。一線は越えられない。
僕の手は震えていた。
すると、遊塚が優しい声で僕に聞いた。
「どうしたの?」
僕が遊塚の方を向いて、耐えきれず溢れ出た涙と共に右手で彼女の頬を包んだ。
「……。」
すると彼女は僕のその手を頬に当てたまま彼女の手で包んだ。
そして彼女は立ち上がって、僕に口付けた。
「結月…」
僕は初めてこの時彼女を名前で呼んだ。
「涼太さん。」
「気に食わね…俺だって結月誘いたい…でも我慢してんだ…結月が大切だから…」
僕は押し殺してた感情を涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら言葉にした。
するとそんなかっこ悪い年上の僕を結月は抱きしめてくれた。
「私、あの人タイプじゃない。むしろあたしは、口数少ない涼太さんがいい。我慢しなくていいのに。」
「俺…止まんねーの。結月が好きで好き過ぎて。全部ムカつく。結月に触れてほしくない。」
「ありがとう。嬉しいよ。」
「ゆづ……ごめんこんなんで。でも俺、俺、ゆづが大好き…」
「私も。涼ちゃんが大好きだよ。」
僕らは感覚的に自然にお互いをこう呼んで居た。
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