第3話 さよなら

「たいしぃー・・・」

「い、いもこぉー・・・」


二人の叫びは難波の岸から離れる船が遠ざかるにつれ。

徐々に小さく、儚く消えていったのでした。


「いもこ・・・」

ギュッと握りしめる左手の薬指には誓いのコヨリが結ばれていた。


「たいし・・・」

遣隋使船に乗る妹子の指にも。


船の後ろ先に駆け寄り。

妹子はもう一度、叫んだ。


「た~いしぃー・・・」


その声は。

潮風に消されて。


妹子の髪を揺らすだけだったのでした。


※※※※※※※※※※※※※※※


続く。

・・・な、訳ないか。(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る