夢たくさん夜
雪
第1夜
真っ暗な廊下に、誰かの叫び声が響き渡る。
さっきまで一緒に避難を試みていた仲間はどこへ行ったのだろう。
視界の悪さに戸惑いつつも、数歩。
きっと私の仲間のことだ。そこら辺に隠れてるか、はぐれたままその場でうずくまっているだろう。
なんとなくで保健室を目指してみたら、灯りが付いていた。一時の安堵。
警戒しながらも、ドアをノックする。
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あぁ、人間だ、と静かに一息。
まだ気を抜けないが、暫くは大丈夫だろう。
流石に、水死体や吸血鬼が人間の仮装などする筈はないだろう。世間話を交わすことにした。
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ふとした瞬間何か背後に気配を感じた。
周囲に警戒しながらも、左手側に身を滑らせ、何気なく疑問を振ってみた。
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なるほど、と納得をした刹那
何かが反射した光が掠れた。
慌てて閉め忘れていたドアに鍵をかけ何か補強剤を探すため即座に離れ見渡した。白衣c はどこかへ急ぎ 私服b はその場で思慮を巡らせているようだ。その場のダンボールやらを崩し補強に取り掛かった途端、ドアが軽く強くノックされた。
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A だ。よく無事でいられたものだ。恐る恐る開けたドアに覗いたのは青ざめた我が友人の顔だった。慌てて中へ迎え入れる。
よく無事だったな、どうしてここがわかったんだと問うてみた所、どうやらなんとなくで辿り着いたらしい。流石我が友人だ。
よく似ているものだ、と類友の縁に感心していた時、そこそこ広い此部屋に強いノックが鳴り響いた。慌ててダンボールやらの山を積み直す。
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返事が無い
恐る恐る、嫌な予感を四方から感じながら本当に恐る恐る少しばかり覗いてみると、そこには人間の肌とは思えない色の何かが、そろり。
慌てて周りの人を小声で呼び付け、張った番を代わってもらった。まだ散らばっている板を握り締め、何者かを見定めるべく正面に立ちはだかった。その時、緑がかった手が、伸びかけ戸は閉められた。爪が、一枚。
ふと背後を振り返ると、約二名がドタバタと行ったり来たり忙しなく動いている。一体こんな時に何をしているんだと呆れ、落っこちてきた足元の爪の処理に困り果てた。
人手が足りない。
ここで手を離してしまったら頼りない。とても心許ない。
ほんの一時、思考を耽しているところに再び強いノックの音が鳴り響いた。
少し埃が降ってきたようだ。焦燥に気をつままれながら希望を模索する。
無い。
後ろを振り返れば賑わいでいた姿も消え、無駄に広々とした閑静な部屋があるのみ。
手元の軋む戸を必死に抑えながらまた考え、考え、ひとつの考えがよぎった。
声を潜め、慎重に隣同士交換した。
かなり重い、大きい。痛む膝に気を遣りつつ、重心を移動する。とても耐え難いものではあるが、そのまま二つ目の頼みを入れた。
とんでもない振動を受けながら、戻ってきた者共を呼び寄せた。余り大きな音で歩かないように付け加えつつ。
軋む。酷い衝撃で衰弊しながら、合間息を乱させながら配役をする。
ほのかに2人の手が青み掛かっているのは何故だろうか。一体何をしていたんだと思いながら反対側を任せた。
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