キャプテン・セイバー

アレクラルク=ネレイア=CMC

孤立した。強過ぎるから

 あのね。

 知ってる?

 人に憑依する能力があったら怖いのよ。

 あなた好き。

 結婚したわ。

 だけど、他の男に乗っ取られたら?

 私はどうすればいいの。

 あなたが好きなの。

 他の男は嫌なの。

 あなたは人質なの。

 あなた弱い男になったのよ。

 素直にソイツに乗り換えればいいの?

 だけど。

 嫌なのよ。卑怯な奴。

 英雄と結婚したいの。

 英雄は暗殺者に負けるけど暗殺者の子供なんて要らないの。

 だからと言って民衆の子供を産め?

 あの。

 私、英雄の妻になれたのよ。

 ランクダウンさせろと?

 理想を。

 あのね。

 えーと。

 暗殺者って下調べしてるのよ。

 ぶっつけ本番の強さではないの。

 英雄か。

 運がいいだけなのかしら。

 あー。

 運命の女神が見放したら、それまでなのかしら。

 怖いのよ。

 あのね。察して。

 あなた、最近変だって言ってるの。

 何なの。

 何があったの。

 私に不満でもあるの。

 私、お母さんにならないといけないの。

 きゃあきゃあ喚いてたのは男をこき使うためなの。

 えーと。

 女を助けるってスポーツなのかしら。

 歳を取ったからスポーツは引退したいのかしら。

 ねえ。聞いてる?

 あのね。

 これが普通。

 良く知らない男だから距離を取ってただけ。

 籍を入れたらフライパン出してくらいは言うわよ。

 あー。

 これアウトなの?

 ふーん。

 理想の旦那様とかいけないのか。

 ふーん。

 女の理想は浅ましいか。

 まあ、男も女も隠居生活したいのよね。

 あのね。

 私があなたの格好いい所を覚えてても意味ないのよ。

 子供に見せて欲しいのよ。あなたの本気を。

 あなたの遺伝子と言うか。

 あなたの背中を追う子供なら強そうだなって。

 えっと。あなた。

 何で泣くの。

 あのね。私。

 強い子供が欲しいの。

 それ、女の使命だと思うの。

 ふーん。

 悪者はあなたがやっつけたから、強い子供は要らないの?

 ふーん。

 私、あなたのトロフィーになって終わり?

 私の子供も要らないのか。

 男に助けてもらわないと何も出来ない女だから。

 ふーん。

 あー。

 うん。

 そうね。

 あなたに罪はないわ。

 私が劣等遺伝子なのね。

 ヒロインか。

 あー。

 どうしようかしら。

 美人、美人って言われて調子に乗ってたけど。

 頭がいいって言ってもらったことないな。

 うーん。そうか。

 私って馬鹿なのか。

 あー。

 私が選んだあなたも駄目な男なの?

 あの戦いは何だったの?

 えー。

 馬鹿が鉄砲玉にされただけ?

 バトルってそれなのかしら。

 駄目なのかしら。漫画に憧れるって。

 成れるわけないのか。ヒーローに。

 ヒーロー願望か。

 あー。

 罵倒語よね。

 ねえ、あなた。

 私、虫けらかしら。

 あなた、私を妹と思っただけかしら。

 私のために戦ったのね。

 社会のために戦ってないのか。

 どうしよう。

 あなた、ヒーローなのに。

 平和になったら用済みなの?

 えー。

 あなたみたいな大英雄使い捨てにしたら、誰が社会のために戦うのよ。

 ニヒリズムが蔓延するわ。

 あー。

 仕方ないのかしら。

 英雄の後はしらけ世代が来るのよ。

 英雄になっても貧乏じゃないかって。

 お金のためなら結婚だってしないわ。

 お金の方が大事だって。

 使い捨てにされてたまるかって。

 どうしよう。

 嫌。この世界。

 あなたが嫌になって来た。

 この世界がアンフェアだって生きた証拠よ。

 神なんていない。

 それを永遠に間近で見ていろと?

 離婚する?

 分かんない。

 あなたを知ってしまったの。

 無私の英雄を。

 養ってくれてもいいのに。

 こんな英雄。

 どうして世間の人たちはアルバイトの方が偉いと言うの?

 分からない。どうしよう。

 あなた。

 その傷どうしよう。

 あんなに命がけで戦ったのに。

 世間の人たちはあなたを極道だと思うのよ。

 許せない。

 忘れたの? 世界の脅威を。

 何で。

 どうして。

 アイツらを見捨てておけば良かったの。

 あ。

 正解なんだ。

 民衆なんか見捨てて敵につけば良かったんだ。

 契約書がないんだから。

 タダ働きご苦労さん。

 それが民衆の本音か。

 そう。

 英雄は契約書を交わしてないから報酬を払う必要ないのね。

 そう。

 プロの戦士の仕事を横取りしただけか。

 これは違法なのか。

 軍人なんて弱いのに。

 あなたしかヒーローはいなかったのに。

 どうしろと?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キャプテン・セイバー アレクラルク=ネレイア=CMC @alecralk_n_cmc

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ