瞬間恋愛 ふーぞく探訪記

猫乃なみだ

第1話 微分

 「フーゾクは瞬間恋愛だ!」ある人は言った。

 その通りだと思う。指名しても、していなくても、初めてご対面するときのドキドキ感、そして嬢が好みのときの高揚感はまさに恋愛感情そのものである。たとえ、彼女がいるとしても、あるいはヨメがいるとしても、その時、その場所では目の前の嬢しか頭にはない。

 世間では浮気とか不倫とか二股三股と、妙な倫理観に縛られているが、そもそも単位期間を短くしていくと、その時、その瞬間では浮気も二股もない。5年間A子と付き合い、その後5年をB子と付き合うケースを人は浮気と呼ばない。しかし、一週間の前半をC子と過ごし、残りをD子と過ごすことは浮気と呼ぶ。それは単位時間の相違だけで二人を愛したことに変わりはない。さらにいえば、一日の昼にE子、夜にF子と抱き合ったとしても同じことである。つまり時間を微分していけば、その瞬間に目の前の女子だけを見ているならば、その気持ちは純粋な恋愛なのだ。

 現実世界の恋愛では、家柄とか学歴とか周囲の評価とか、あるいは経済問題など・・・打算や損得勘定に影響されることも多い。それは恋愛としては不純といえるのではないか?純粋に異性を求めて、フーゾクという設定場面で出会い、限られた時間のなかでふれあい、瞬間恋愛におちいる感覚は、現実世界の恋愛体験に劣ることはないのだ。

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