面白くないデスゲーム

かがみゆえ

第0話 プロローグ

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『おめでとうございます。ゲームクリアです』


 アナウンスの声の後にパチパチと拍手の音が聞こえる。

 ゲームの終わりを告げるには呆気ない音だった。


「………」


 おめでとうと言われたのは学生服を来た男子生徒だった。


「……何がおめでとうだよ」


 男子生徒の学生服はところどころが破れていたり、切られた痕があった。

 黒い制服なのに、泥なのか濁った色の汚れもついていた。


「返せよ……みんなを返せ! いきなり訳の分かんねぇゲームに参加させられて! 一人ひとり死んでって……なんで、なんで……っ」


 両手で顔を覆い、泣きじゃくる男子生徒。


「おれたちが何したってんだよぉ……!」


 泣きじゃくる男子生徒を慰める者はいない。

 無理もない。

 男子生徒がいる場所には、男子生徒しかいない。

 “生きている者”は、だ。


「あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ーーー!!!」


 膝から崩れ落ちて、泣き叫ぶ男子生徒。


 怒り。

 悲しみ。

 苦しみ。

 憎しみ。

 喪失。

 絶望。


 泣き叫ぶ男子生徒からはそんな感情がヒシヒシと伝わってきていた。





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〈今回の生き残り、まさかの平凡ボーイだったわー〉

〈マジ?あれ陽キャ君は?〉

〈最初に死んだじゃん。見てないの?〉

〈え、うそ。最初から予想外れたー〉

〈えー、美少女ちゃんも死んだん?〉

〈美少女ちゃんぬは救いようのないクズで取り巻きに色々やらせて最後はネクラ女に刺されてアポン〉

〈やめて!美少女ちゃんはそんな子じゃないわ!〉

〈幼馴染みコンビの友情は涙ちょちょぎれたわ〉

〈↑うそつけ〉

〈↑うそつけ〉

〈↑うそつけ〉

〈どっちも生き残るって言って相討ちだったじゃん〉

〈彼女を守るって頑張ってた彼ピッピ殺したギャル彼女サイコーだった〉

〈―――…〉

〈―――…〉





 生き残った男子生徒が絶望に嘆き悲しむ中。

 男子生徒が映る画面にはつらつらとコメントが流れていく。

 男子生徒の姿は某動画サイトに生放送として流れていた。

 男子生徒を労るコメントは殆どなく、“今まで”の出来事を振り返り感想としてコメントが書き込まれていく。

 【誰が誰に殺された】や【誰がいつ死んだ】などのネタバレに近いコメントばかりが目に入る。


 そう、男子生徒たちが襲った悲劇は一部始終撮影され、不特定多数に閲覧されていた。


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