第68話 残りの大阪四天王
「キミたちが北区のアマゾネスの女王・中津を倒して、大阪四天王の不老不死を崩したと感じたとき、私はキミたちがどういう人間なのか見極めようと思ったんだ」
犯罪仮面……木津川さんは、遠い目をして語り出した。
……自分以外の大阪四天王がどれほど酷いかを。
「キミたちが討伐した北区の女王、中津はあれでもまだマシなんだ……少なくとも、自分に従う人間の権利は守っていたからね」
語り出す。
残り2人の大阪四天王のことを。
……残り2人は……
その名は……
この2人はグループを作らず、ほぼ単独で、大阪王より得た不老不死の力と、自身の大阪スキルの力で、この地獄の大阪を好き勝手に生きている。
だから、グループを作る中津はまだマシだったのだそうだ。
……少なくとも、そのグループに入ればそいつの権利だけは保証されるから。
だからある意味、狭くはあるが公のために生きていると言えなくもない。
だが、残り2人は圧倒的に私のために生きている。
だから彼らは……知性のある危険なケダモノなんだ。
すると
「……知ってる」
木津川さんのそんな話に、谷町さんは能面のような表情で反応した。
そして言ったんだ。
「……樽井は……僕の父の仇だ」
……え?
そしてこうも言った。
ヤツの大阪スキルは「豊臣秀吉」
アイツをこの手で殺すため、僕は必死で自分の腕を磨いて来た……と。
豊臣秀吉の大阪スキル使いだって……?
偉人系。しかも大物じゃないか……!
一体、どれほどの力が……!
その言葉を聞いたとき
「……そんなことがあったのか。すまない……」
そう言って、木津川さんは侘びた。
「……私が、樽井を倒せていれば、キミのような不幸な子供を出さないで済んだかもしれないのに……!」
その声には無念さがあった。
「……何か、あったんですか?」
俺は訊いた。すると
語ってくれた。
「私も、彼らを倒そうとしたことはある。でも、ダメだったんだ……」
その声の無念さ。
無力感……。
そんな……
残り2人の大阪四天王は、この犯罪仮面こと木津川さんよりまだ強いっていうのか……!
「天海直人の大阪スキルは……串カツ」
串カツ……大阪グルメの有名どころか。
その大阪スキル使い……弱いはずが無いよな。
俺は木津川さんの話を心して聞いた。
この人は、俺たちに大事なことを伝えようとしている。
「私はヤツの大阪スキル技は2つしか見ていない。……串スピアと……二度浸け禁止」
「二度漬け禁止……?」
俺の言葉に、木津川さんは頷く。
その答えは……
「二度浸け禁止は、串カツの基本ルール……一度浸けた串カツを、二度ソースに浸けてはいけないという基本事項」
そして、天海の二度浸け禁止は、そこから転じて
「ヤツの前で使った大阪スキルは、ヤツの前では2度と使うことが出来ないんだ」
……俺はその言葉を聞いた瞬間、絶望的な気分になる。
つまり……天海という大阪四天王には、同じ技を2回使うことが出来ないって言うことなのか……!?
そんな……!
ということは……
俺は実質、天海相手に仕留める技は1回しか出せないっていうこと……!
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