ショートショート・『いい風呂』

ショートショート・『いい風呂』

（

、昨日の「いい風呂の日」の、アメブロのブログネタ・「お風呂でスマホやテレビ見る？」に投稿したものです）

　あたしは17歳のJKで、ミサキっていうんだけどーいつもお風呂の時にはスマホを持って入ります。「必携アイテム」って感じです。

　今日はいい風呂の日、なんだって！　語呂合わせでこういうのよくあるね？　猫の日、犬の日、いい夫婦の日…

　あたしは「アスペルガー」っていう病気で、不登校で、ひきこもり。

　この病気特有の「こだわり」に悩んでもいます。

　例えばこういう「言葉のしゃれ」をつい作っちゃったり、「数字の語呂合わせ」してしまったり、とか「つい目にした数字で計算しちゃう」とか…

　アスペルガーは人名で、「自閉症スペクトラム」のひとつで、一種の人格障害。だけど、能力が高い傾向もあって、エンジニアとかには向いていたりもするので、「シリコンバレー症候群」ともいうらしい。情報技術者とかに多いんですね？

　でも、JKには向いてない、ていうかKYとか言われてみんなが笑っているジョークについていけなかったりもします。

　でも、将来的には自分の個性を生かせる道を見つけられると信じていて、今はそのためにちょっと英気を養うというか、準備している…蝶々になるために「さなぎ」になっているんだ…そんな風に思うことにしています。

　で、やっぱり、個性的で凝り性のアタシは、「いい風呂の日」から変な連想をいろいろしてしまうのだった。

　「いい風呂」？ただの言葉遊びで…いわれはなそうね。スマホで調べてみると、入浴剤のメーカーの組合か何かが「記念日登録協会」というところに届け出て、制定されたらしい。ふーん…いい風呂っていうとサウナとかソープ？とか連想もするけど…「フロイト」っていう心理学者もいたっけ。「いい風呂入っとる？いい夢見てね？」なーんてね。

　そういえば、ルイス・フロイスなんて人も？日本学者だっけ？

　またスマホで検索。　「ルイス・フロイス」。秀吉や信長に会って「日本史」っていう本を書いた外国人か。イエズス会宣教師。この名前、脚韻を踏んでる…

　この間は、「✕」っていう、つぶやきを書き込む例のSNSで「パパ活」したおじさんとホテルに行ったっけ。

　入ったラブホのお風呂の部屋との敷居のガラスにはラッセンていう画家のイルカの絵に似た構図のイラストが描いてありました。アタシが持っているお気に入りの水晶玉のLEDの光アート？のグッズというかおもちゃというか？の中にあるのもそのイルカの絵に似た構図のオブジェです。（分かる？）

　動物園に行くと、そういうイルカのジャンプが実際に、そっくりの構図で観られるというのはテレビで観た記憶で知っている。

　リリーナントカという学者が南の島にいて、一人でイルカ語の辞書を作っていて、「意識の中心」という本を書いたりしていたらしいけど、なんとなく男性だと思い込んでいたけど女の人かもしれない…「リリー」だものね？

　またスマホを操って、「意識の中心」、「リリー」で検索すると、「ジョン・Ｃ・リリー」で、男だった。

　「意識の中心」という本のレビューの長い文章があって、この博士のアウトラインが要領よく書かれていてよくわかった。気がした。

　なんだか大富豪の御曹司で、物理学から生物学の研究に移り、「素晴らしき新世界」というＳＦ（読んだよ）をきっかけに人間の意識というものの不思議さや深さ、構造？とかに興味を持ち始めて、そのプロセスでイルカの研究をするようになったらしい。

　私財を投じて建造したイルカの研究所もあったりして、「アルタード・ステイツ」や、「イルカの日」という、博士の研究をモデルにした映画もあるそうだ。

　暗闇と水だけので空間に閉じこもってＥＣＣＯという「地球の声」を聴いたりしたり、ＬＳＤのサイケデリック体験で意識というものの深い次元の実在というか？を確信したり…「意識の中心」はそういう人類の”意識”についてのリリー博士の生涯をかけての様々な研究報告の中の白眉？らしい。

…  …

　あたしの家のお風呂は平凡で、窓はあるけど小さい。眺めも悪い。

　太宰治の「女性徒」の中の昭和初期の？女学生のモノローグも、でも主観というか意識としてはアタシとさほど変わりのない発想や体験をしているだけだったっけ。

　アタシ達には、例えばスマホという、こういうなんだか途方もなく博学多識で底知れない可能性を秘めた「友達」みたいな存在がいて、そこはすごく違っています。

　いつまでも狭い教室でせせこましいグループなんか作って、ちまちました”いじめの輪”なんかにかかわりあっているのはまっぴらだな…世の中には、この緑色のお湯みたいにほんわかといい匂いのする暖かい人もいれば、冬の道路わきの溝みたいに暗くて冷たい、嫌な人もいる。

　そういうことは本当に嫌だ。

　…でも、明日はそろそろ学校に行ってみようかな？そうも思いました。

＜了＞