第二章:召喚士と新たな仲間達

【召喚】×27864×2……

「ふぁー!」


 俺らは冒険者ギルドを出た後宿屋に行き、ベットに寝転んだ。


「ベットが……こんなにふかふかだっただなんて……」

「良かったですね、ルイド様」


 そう言ってニコッと笑うエリシア。


「……寝っ転がらないの?」

「えっ?」


 そして素っ頓狂とんきょうな声を出すエリシア。

 そう、エリシアは先ほどがら綺麗な姿勢のまま立っている。


「エリシアも凄い疲れているだろうし、ほら」


 左にずれてスペースを空け、空いたところを手でトントンとやる。


「で、ではお言葉に甘えて……」


 エリシアがゆっくりとベットに座る。

 良かった。ちゃんと休んで貰えそうだ。

 ……やっぱもう一度マジマジと見てみると、本当に凄く綺麗だな……。

 人形でもここまで綺麗には作れないだろう。


「ル、ルイド様?」

「えっ、あっ、ごめん。見れちゃってた」

「そ、そうでしたか」


 ああっ、エリシア向こう向いちゃった。

 もう少し見てたかったな……。


『アォン!』


 キーちゃんが俺の太腿ふとももをテイテイと押してくる。


「ん? どうしたのキーちゃん」

『アォン』


 キーちゃんがベットにゴロンと横たわる。


「……撫でて欲しいの?」

『アォン!』


 どうやらそうっぽい。


「よしよしよしよし」

『アォォ〜ン……』


 キーちゃんは気持ち良さそうな鳴き声を出した後、徐々に目を閉じていって眠ってしまった。

 そうだよね、キーちゃんが一番疲れてる筈だもんね。


「寝ちゃいましたか?」

「寝ちゃった」

「本当に疲れてたんですね……」


 エリシアがそう言ってキーちゃんのたてがみを撫でる。


『クゥーン……』


「うふふ、寝言でしょうか?」

「可愛いなぁ」

「か、かわっ!? あ、そ、そうですね……」

「?」


 エリシアが凄い慌ててたけどどうしたんだろう?


「大丈夫エリシア?」

「大丈夫ですよ。大丈夫……」

「そ、そっか。疲れてるみたいだし、エリシアもこのベットで寝たら?」

「そ、そうしたらルイド様のスペースが……!」


 察しているだろうが、この部屋にはベットが一つしかない。

 つまり、ぎゅうぎゅう詰めで寝るか誰かが床で寝るしかないのだが、前者の方はキーちゃんが寝てしまっている為もう出来ない。

 なので、俺が床で寝る事にした。


「良いんだよ。エリシアの方が疲れてるだろうし」

「そんな訳ありません! ルイド様は私よりも長くあのダンジョンにおられました! つまり、絶対に私よりも疲れているのです!」

「仮にそうだったとしても、俺はエリシアにベットで寝て欲しい」

「何故ですか」

「そんなの、女性だから」

「……へ?」


 エリシアがまた素っ頓狂な声を上げた。


「女性だから、きっと俺よりもすぐ疲れてしまうだろうし、何より俺が女性に譲りたいから」

「……」


 エリシアが何も言わなくなってしまった。

 あー、もしかして女性だからとかいう感じのを言われたくなかったのかな?


「ごっ、ごめん、女性だからとか性別に関する事を言って……」

「ルイド様」

「はいっ!」


 思わず敬語になってしまう。


「ありがとう……ございます……。またお言葉に甘えさせて貰います……」


 そう言ってエリシアはベットで横になった。

 良かったー、別に怒っている訳では無さそう。

 エリシアと不仲にはなりたくないからなぁー。


「あっ、そうだルイド様」

「どうしたの?」

「言い忘れておりましたが、私も召喚士を召喚出来るのです」

「へぇ〜……ん!?」


 なんか今サラッと凄い事言わなかったか!?


「えっ、ちょっと待って……ヤバくないそれ?」

「相当ヤバいと思います。仮に私が召喚した召喚士にもそれがあれば、どんどん増えていきますし、ルイド様がもっと沢山召喚すれば、もっと早く増えていきます」

「俺のMPは今278643だから……」

「最大で27864回出来ますね」

「多っ!?」

「そしてその召喚士も召喚士を召喚出来るすると……」

「無限に×2が起きる……」

「流石ですルイド様」


 いやいや、思ったよりも凄い事になってるぞ!?

 そんな数召喚なんてする事ないだろうけど、仮にやったらもうとんでもない数の召喚士がこの世に解き放たれるって事だ。

 それも、もしかしたら神話級モンスターを召喚出来る人達が……。

 ……世界が混乱に陥る事、まったなし!


「とんでもないなぁ……」

「召喚士を召喚するのは、色々考えてからの方が良いかもしれませんね」

「そうだね」


 そう言って俺らは部屋の電気を消した。


「おやすみなさいませルイド様」

「おやすみ、エリシア」


 そう言ってお互い目をつぶり、ぐっすりと寝た。

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