第二話 凱旋

俺は勇者インフィニット・アンリミテッド、16の時神より啓示を受け

「セーブ」と「ロード」のスキルを授かった。


神より啓示を受けた事は俺が生まれ育ったリピティション国内で噂になり

18の時、王に呼ばれ勇者として魔王討伐を命じられた。

俺は一人で国を旅立った。俺を女手一つで育ててくれた母は誇らしげに

俺が勇者になった事を喜んだが旅立ちの日、母は泣いていた。


国を出ようとすると一人の女が声を掛けてきた。

よく見ると、王女エターナル・エンドレスだった!

は?何やってんすか?

魔王討伐に連れて行けと言いだした。

は?馬鹿なん?おどれに何かあったら俺縛り首だろ!

魔王討伐に行くため城を抜け出し俺を追って来たらしい。

王女を笠に俺に命令をしてきやがった。

しかし、俺は素直に命に従った。

まぁ、下心が無かったといえば噓になる。

王女の立場が国を抜けると御付きの人どうなるんだ?と思ったが

この馬鹿女はそこまで頭が回らないようだ。

しかし、やはり王女と言うべきか大人しくしてれば

普通に・・いや、とんでもなく可愛い。それに同い年だしな。

まぁ・・国内では男共のアイドルみたいになってたからな

そんな女と旅できるのは・・俺も男だ、あんな事やこんな事もそりゃあ、想像したさ。

それから、この馬鹿を国に戻す為に行動してたんだが、毎日喧嘩した。

つかこいつ回復魔法使えんだが、魔物回復したりすんだよ。

馬鹿で間抜けでどんくせー。よくこんな奴が王女やってたな。

終わってるだろ俺の生まれ故郷。

しかしだ、この馬鹿がどんな間違いか・・いや、神は何を考えてんだ?

賢者になるとはよー!一度俺たちの最後方から風系の魔法使いやがって

危なく全滅するところだった。そういう所だぞ。

女賢者エターナル・エンドレスだ?神よそれでいいのか?

と、横に座ってる女を眺めている。

「あら?何かしら?」

「国に帰るぞ。やっとお前を国に返せるぜ!」

「やだよ?もっと冒険するのー!」

エターナルの頬を力いっぱい抓ながら

「この馬鹿女!お前が抜け出たせいでお前の付き人クビになってたらどうすんだ」

「痛い!痛い!もー!でも大丈夫じゃない?昔から何もなかったよ?

 お父様もお母様も昔から気にしてなかったよ?」

「はぁ・・・・どんだけ終わってんだ俺の故郷・・」

エターナルの頭に拳骨する。

「いたーーーい!ひどくない?」

「まぁ、そのくらいにしとけ。嬢ちゃんも分かってるって」


この男は戦士バウンド・レス俺達よりも10歳年上で俺達パーティーの兄貴分的な立場だ。

そして女魔法使いリミット・レスはバウンドの妹で俺の1つ下になる。

この2人は、国を出て隣街に行く間、どこかの馬鹿が魔物を回復し危機に陥っている時助けてくれた。


「イン様、エターナル様は考えなしに行動してませんことよ?エターナル様をもっと信用しません事?」

リミーと俺は呼んでいる。リミーはとても上品で大人しい・・・

なんでこっちが王女じゃねえんだよ!

しかし、この女ターナを何故か妄信してやがる。将来が不安だ・・

あまり毒物に近づけてはいけないと思う。

どうか!神様!リミーをこのまま健やかに育みください!!!

まあバウンドがしっかりしてるから大丈夫か・・

「それよりイン、俺達は魔王を倒した訳だが、今お前の能力ロードを

 使うとどうなるんだ?」

「セーブした所に戻ってまた魔王戦だな」

「ねえニット、ここでセーブしたら?」

む?馬鹿女の癖に良い事いうじゃねえか

「スキルオープン・・・ん?」

「イン様どうしたのかしら?」

「あれ?セーブ欄が黒くなってセーブできねえ」

「なんでだ?」


俺のスキルはセーブとロード

スキルを開くと光のノートみたいなのが目の前に開く

1から3までセーブできる欄があり、その欄を選びセーブが出来るが

重ねてセーブすると新しいセーブが優先され古いセーブは消滅する。

1から3までセーブした欄を選びロードすると、

セーブした状態の時の状況に戻る事ができるが、

その時記憶を持ってその状況に戻るのは俺のみだけだ

他の3人は記憶を共有していない。

全滅すると意識の中でスキルノートが浮かび選ぶことが出来る。

今俺のセーブ欄は

①旅立ちの日、母との別れ前

②王の間

③魔王王の間前

となっている。


「分かんねえ。何か制限があるのかも」

「さて、魔王も倒したし、凱旋と行くか」

「はい、お兄様」

バウンドはリミーの頭を撫でている。

この2人は本当に良くできた兄妹だ。見ていて俺にいつも癒しをくれた。

対照的にこいつは・・・・

「何?何で睨むの?ねえバウンド。ニットが睨むんだけど」

「嬢ちゃん、あれだ、好きな子には邪険にするってやつだ」

「あらあ、ニットそうだったの?早く言ってくれればいいのに~」

「ああん?ここに置いてゆくぞ?」

「イン様喧嘩なさらないで」

「ああ・・リミー外まで頼む」

「はい、わかりました。エスケープ!」

次の瞬間魔王城の門前にいた。

「ターナ、城まで頼む」

「何?頼む?それが人に物を頼む時の態度?」

イライライライライラ!!!

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

「イン!どうした!」

「いや・・叫んだらスッキリした。はいはい・・・ターナ様お願いします」

「分かればいいのよ。ルート:リピティション城王の間」

王の間に転移する。

いつもの様に、王と王妃が椅子に座り、周りに衛兵が立っている。

「エターナル、勇者よ戻って来たか」

「お父様、魔王倒しましたわ」

「なんと真か!」

「うん。ニットとバウ兄さんにミットちゃん、頑張ったよー」

「これはこれは!勇者インフィニット!よくぞ魔王を打倒してくれた。

 其方らを4賢臣として思うまま褒賞をとらせよう!皆の者国中に知らせよ!

 国をあげて宴を開くぞ!」

その時王の前で膝まづいている俺に光が天井より降り注ぐ

声が響き、俺にスキルを与えたあの時の女神が現れた。

「インフィニット・アンリミテッド、よく魔王を討ち果たしました。

 これで、この地に魔の恐怖はなくなり真に平和が訪れる事でしょう。

 其方の活躍を讃えこれを進呈しよう。受け取るがよい。

 では・・この者に祝福あれ」

というと女神は消えた。

「お、おいインどういうことだ?」

「勇者よ今のはいったい何があったのだ?」

「はっ、魔王を討ち果たした礼とでもいいましょうか・・女神より

 新たなスキルを頂いたみたいです」

「なんと」

「すごーい!ニットどんなスキル??」

「おー、すげーなそりゃあ」

「イン様どの様なスキルでございますか?」

「えとな・・・強くてニューゲームってなってるな」

「ニット使ってみて!」

「イン様使って見て下さい」

「おおそうだな。使うべきだろ」

「勇者殿、女神様よりの物じゃ。まさか災いを招くことはあるまい。

 余も興味がある使うとよいぞ」

「はっ、陛下なれば・・早速」

王もターナ、バウンド、リミー、そして王妃と衛兵が身を乗り出し

俺を見ている。

「スキルオープン」

スキル:強くてニューゲームが一番下に追加されている

その欄を押した瞬間辺りは真っ暗になりスキルノートだけが光っている。

「あれ?おーい!皆!」

声が響く

「1番に自動セーブされました。それでは、1番を選びプレイしてください」

1番目のセーブ欄を見ると横に王冠のマークが付いている。

ま、選んだら分かるか。

俺は1番目のセーブを選びロードした。

「インフィ!インフィ!いつまで寝てるの!今日は王様に呼ばれた大事な日でしょ!

 早く起きて準備しなさい!いいわね!!」

懐かしい声が響いてる。俺が王に呼ばれ旅立つ日だ。

俺は部屋の天井を眺めながら懐かしい思い出に浸っている。

さて、行きますか。此処から何が起きるか全部分かってるし、

さっさと魔王倒すか!

つか俺のレベルいくつだ?

「ステータスオープン」

お?レベル45か!おおお!そのまま始めからってことか!

いいじゃん!俺TUEEEEできんじゃねえか!

他の奴らはどうなんだ?急いで行ってターナをパーティーに入れねえと。

「母さん行ってきまーす」

「王様に粗相してはだめよ!」

「はーい」

俺は走って城に向かい門番に名前を告げると

すんなりと王の間へ案内された。

つか、名前言うだけで、ここまで俺を入れるって・・ここの安全管理どうなってんだ?

さすが・・ターナが王女だけあるな。

王、王妃そしてターナが俯いて椅子に座っている。

腹いてーー。笑うな!我慢しろ俺!

「こ度、王名により参じました。インフィニット・アンリミテッドです」

「良く参った。其の方の噂は余の耳にまで達しておる。

 神より啓示を授かったと」

「はっ、仰せの通りでございます」

「うむ。これも其方の運命じゃろう。その神の啓示、魔王討伐に活かせぬか?」

「はっ、我がスキルを活用し必ずや魔王討伐してご覧にいれましょう」

「ほっほっほ頼もしい言葉じゃ。其方に勇者の称号と勲章を与えよう」

「はっ、有難き幸せ。では・・すぐに出立致します」

「何?もう行くのか?」

「はっ!」

「わはははは、勇敢なものよ。ならば行くがよい」

「はっ!では、失礼致します」

「うむ!気を付けるのだぞ」

「はっ」

俺は走って城を出て家に戻ると支度をする・・

部屋に・・装備が一式置いてあった

おお!最強装備もあるじゃねえか

つうことは・・

カバンが5個ある、その中を見ると

アイテムも全部あるじゃねえか!

よっしゃ!楽勝だぜ!

「母さん行って来る!サクッと魔王倒してくるから!」

「ええ・・・気を付けなさいよ」

母は泣いていた。

くそー、やっぱここは俺も泣きそうになるぜ!

俺は急いで街の入り口まで急いだ。

そろそろ・・ターナが来る筈だが・・

お?来たな

「ねえ、私も一緒に連れて行って」

「ああいいぜ!よろしくなターナ」

「え・・・あの・・???」

「あん?なんだ?」

「私が誰か・・」

「ああ、王女様だろ」

「そう・・・」

「まあいいじゃねえか、俺の名前は」

「知ってる。宜しくねニット」

「ああ、早速行くぞ、速攻魔王倒すぞ」

「うん」

「つか、ターナレベルいくつだ?」

「1に決まってるでしょ?」

俺だけが引き継いだって事か?

「俺は45なんだが?」

「はぁ?見せてみてよ」

ステータスを見せる

「すご!まじで?いつの間に?」

「とりあえず一気にいくぞ」

「うん」

ターナと街を出て道沿いに歩き山を越えている

今まで数回魔物との戦闘になったが、全て一撃で倒してきた。

しかしよ・・今ターナをおんぶして歩いている訳なんだが・・

こいつ捨てていいかな?疲れた疲れたうっさいんだよ。マジで・・

お?

バウンドとリミーだ!

ここは、初めましてな感じでだな。

「2人とも何か困ってるのか?」

「ああ、共の者が疲れたってな」

「それは、お困りでしょう。お兄様折角ですので、

 このまま、イン様とエターナル様と

 ご一緒しては?魔物も出る事ですし」

「ああそうだな?あんたが良ければだが」

「頼む」

「決まりだな」

俺達は隣町で教会に行き、洗礼を受ける

手の甲に4人同じ印が浮かび正式なパーティーとなった。

そこから一気に旅を進めた一度魔王を倒しているので

行き方などはバッチリだ。

3人のレベルを上げ俺がレベル68

3人がレベル50になった時、大陸中央の神殿で神の啓示を受け

ターナが賢者になり、バウンドが伝説の盾をもらい、リミーが魔力増幅の杖を貰う

俺は剣を貰ったが2個目になる・・

そして一気に魔王城に行き魔王の間に行く。

魔王の間の前でセーブする事にした。

3番目にセーブすると3番目のセーブの欄にも王冠のマークが付いた。

入ると魔王が椅子に座っている。

いつもの台詞を言うと戦闘になったが

今回は、皆のレベルを上げていたので簡単に倒すことが出来た。

楽勝だな!じゃあ戻るか。

城に戻るとまた同じ流れになり女神が現れたが今回は何もくれなかった

労いの言葉だけであった。

だが・・・

「すごーい!ニットどんなスキル??」

「おー、すげーなそりゃあ」

「イン様どの様なスキルでございますか?」

「ニット使ってみて!」

「イン様使って見て下さい」

「おおそうだな。使うべきだろ」

「勇者殿、女神様よりの物じゃ。まさか災いを招くことはあるまい。

 余も興味がある使うとよいぞ」

「はっ、陛下なれば・・早速」

王もターナ、バウンド、リミー、そして王妃と衛兵が身を乗り出し

俺を見ている。

俺は、不気味な感じがしていた・・

辺りを見渡すと皆黙って俺を見ている。

なんだこりゃあ?

まあいいか・・

スキルオープンし強くてニューゲームを押す

辺りは真っ暗になる。

俺は気が付いた・・・これずっと繰り返すのか?

魔王を倒した続きは?

そう考えると・・怖くなってきた・・この世界はいったい・・・

俺はそう考えながらセーブ欄①をロードした。

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