引きこもりJKがVTuberを通じて回復するお話
@mamap3427
第1話 出会い
いつからだろう、味覚を感じなくなったのは
いつからだろう、ドアの向こうから呼びかける声が消えたのは
いつからだろう、一日の大半を布団の上で過ごすようになったのは─────────
「ん…もう朝か…」
朝は嫌いだ、窓の外から聞こえる鳥の囀りも、カーテンの隙間から差す眩しい陽の光も、私を「今日もそうやって死体のように過ごすのか?」と馬鹿にしているように聞こえてイライラする。
「はぁ…」
小さなため息をつき、重い体を起こしてスマホをつける
「11時…」
毎朝時間を見る度に憂鬱になる。なんで私はこんな時間にだらけてスマホを眺めているのだろう、なんで私はこんな時間まで寝ているのだろう。と自責の念と罪悪感が頭に油汚れのようにへばりつく。
「…二度寝しよ…今日はスマホ見る気分じゃな…ん?」
寝ようと体を倒した時、一つメールが届いてることに気づいた
「私に…メール?」
私は友達はもちろんのこと、家族からも見放されている。電話はもちろんのこと、メールなんて届いたことはひとつもない
「なんだろ」
私は頭の中に疑問符を浮かべつつも、メールアプリを開く、そこには
【あなたもVTuberになろう! 新規メンバー募集中!】
といういかにもテンプレートな求人メールが。恐らく少し前に登録していた求人サイトからのメール、だが、求人メールなんて登録してからずっと送られてきていなかった。おかしいと思いつつ、少し気になったので読んでみることにした────────
数日後、何故か私はモニター越しに面接官と向き合っていた
「
「は、はい」
「えー、では、どうして弊社を志望されたのでしょうか?」
「えーっと…あ…あの…」
久しく人と話していないから言葉が上手く紡げない、喋ろうとする度に頭が真っ白になって何を喋ればいいか分からなくなる
「私は…ずっと引きこもりで、そんな自分を変えたいと思っていた矢先に…御社の募集のメールが…届いて…それで…」
「分かりました」
絶対にダメだ、はっきり喋れていないし言葉も途切れ途切れ。自分でもわかるくらいにダメな回答だ
「では、あなたの特技は?」
「と、特に…ありません…」
「では、あなたの趣味は?」
「特には…」
「分かりました。これにて面接を終了させていただきます、合否については後日メールでお送りいたします」
「は、はい、ありがとうございました」
それから数秒後、プツリと音が鳴って画面が暗転する。それと同時に私の体は椅子から崩れ落ちた
「はぁ…絶対落ちた…」
私はあのメールが来た時、変わるチャンスだと思った、でも、今わかった。今更遅いんだと、もう取り返しのつかないところまで来たんだと。
「うう…」
椅子に顔を伏せて、小さな声で呻くように泣いた
数日後
「は…?合…格?」
私は受かっていた
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