第12話
イノセントの体がモヤのような「影」で構成されているのは、そのためだ。
かざねのいる地上に向かって降下を始めた2体のイノセントは、「無色エネルギー」と呼ばれる量子エネルギーを自らの体表の外に展開する。
イモータルと違って彼らには細胞の「色」がなく、細胞内の遺伝子情報は絶え間なく結合と分離を繰り返している。
言ってしまえば、あらゆる【情報】を出し入れすることができる1つの容器に、絶え間なく高分子エネルギーが循環している状態にあると言える。
人間と違って特定のアルゴリズムを持つ脳幹細胞(三次元神経回路)がないため、知能は低い。
そのかわり全身が情報処理を行うための特殊なニューラルネットワーク(神経ネットワーク)で構築されており、ある単一な事象(根元事象)に於ける思考速度や反応速度に関して言えば、人間の肉体構造的な連動性と可動域を遥かに凌ぐ。
彼らには「意志」が無いと言ってもいいだろう。
周りの物質や情報を「喰う」ためだけに活動していると言っても良く、その根源活動の源にある“目的“も、ある意味不透明な状態にあると言っていい。
思考の「壁」になるものが存在しないのだ。
何を「して」、何を「しない」か、その取捨選択の境になるものが何もなく、一つ一つの行動に対して優劣をつける判断基準が介在しない。
雨や台風が、通過する場所を「選ぶ」ことがあるだろうか?
地震や津波が、「意志」を持って行動することがあるだろうか?
彼らは自然現象の【現象間】に行き来する“物事のありのままの状態”と言っても過言ではなく、そこに善も悪も介在することがない。
かざねに向かって攻撃を展開する。
その思考速度でさえ——
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