第4話
『氷室かざね』は、都市の住民の約数%しかいないと言われる“調停者(イモータル)”と呼ばれる特異体質者の1人だ。
初めてイモータルが都市部で発見されたのは2238年のことだった。
暗黒物質に世界が侵食されていく中、人々の体内でも同様に異常な染色体の“変異性”が散見されるようになる。
これは黒死病の病状の一つでもある「組み換えDNA」と呼ばれる細胞の改変が遺伝子レベルで後世へと行き渡ったことが原因と言われており、自らの体内にある染色体の自在な加工、操作を実行できる「ゲノムコード」が、イモータルと呼ばれる体質者=変異者の中に発見された医学的な”きっかけ”にもなった。
彼らは本来人間の毒とされる暗黒物質を体内に取り組むことができ、かつそれをエネルギーに変換することができる。
自然科学的な見方ではあるが、「黒死病」を克服できた“奇跡の人類“としても人々から認知されるようになり、2240年代前半から2260年の後半にかけて、イモータルの人体解剖と分析、研究が活発に行われるようになった。
研究の成果でわかったのは、イノセントと細胞レベルで同質の性質を持つという点と、遺伝子配列という枠組みの中で“地球上の生物にはないゲノム情報を持つ“という点だった。
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