レオンの将来
母のサンドラとウィリディスは、レオンとアルスにごちそうを作って待っていてくれた。
トマトと根菜がたっぷり入ったミネストローネのスープ。ほうれん草とベーコンのキッシュ、ポテトサラダに焼きたてのパン。
レオンは豪華な食事を喜んで食べた。驚いた事に、アルスも人間の食事を喜んで食べたのだ。
精霊は人間の食べ物をたべない。たまに、澄んだ水や火を通していない野菜や果物を食すだけだ。
だがレオンと契約したアルスは、普通の人間と同じように食事をした。アルスは食べ物が珍しいらしく、天界では食べた事がないと言って、嬉しそうに食べていた。
食事が終わると、アルスはウトウトしだした。サンドラに言われて、レオンはアルスを抱っこしてベッドに行った。
それまで眠そうだったアルスは、ベッドに行くと途端に目をパチリとさせ、しきりにレオンに話しをした。
「レオン。先ほどの飯は美味であった。また食べたいぞ?」
「うん。今日は母さんとウィリディスが腕によりをかけて食事を作ってくれたんだ。だけどいつもあんなに豪華じゃないんだよ?」
「何故だ?」
「だって、ベーコンやバターや牛乳はとても値段が高いからね。野菜や果物はウィリディスが魔法で作ってくれるけど。月に一回、町から商人がやって来て、村に品物を売ってくれるんだよ」
「そうか、ならば商品を買えるように金を稼ごう!」
「うん、そうだね。学校を卒業したら僕はお金を沢山稼ぐ!母さんとウィリディスに楽させてあげたいもの」
「うむ、殊勝な心がけじゃ。ところでどんな事をして金を稼ぐのじゃ?」
レオンはニンマリ笑ってアルスに言った。
「アルス。僕はね、冒険者になりたいんだ」
「冒険者?とは何じゃ?」
「冒険者ってのはね、色々な場所を旅して、困っている沢山の人を助けるんだ。ねぇ、アルス。一緒に行ってくれる?」
「もちろんじゃ。レオンはオレ様の契約者なのじゃからな!」
「ありがとう、アルス。・・・、冒険者になりたいのはね、お金を稼ぎたいだけじゃないんだ。僕は、旅に出て、父さんに会いたいんだ」
「おお、レオンの父者か!オレ様も会いたいぞ?今どこにいるのだ?」
「・・・。それが、わからないんだ。四年前に手紙が来て、遠い遠い場所にいるって」
「それって行方不明って事じゃ、」
アルスは不適切な言葉と思ったのか、慌てて口をつぐんだ。レオンは微笑んで答えた。
「いいんだよ、アルス。そうなんだ、父さんは行方知れずだ。母さんもいつも笑顔だけど、ずっと心配している。だから、僕は父さんを探したいんだ」
レオンの話しを聞いていたアルスは、疑問がわいたのか、可愛く首をかしげて言った。
「のうレオン。父者も精霊族なのじゃろう?父者の契約精霊は誰なのじゃ?」
「ああ、父さんの契約精霊は、剣の精霊グラディウス」
「何と?!」
レオンの言った人物に、アルスは驚いた声をあげた。レオンは不思議に思って聞いた。
「アルス。グラディウスを知っているの?」
「知っているも何も、奴はオレ様のライバルじゃ」
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