第15話 助っ人来ました!

 デルベロとの戦いの後負傷はしたものの、骨折のような大きな怪我はなかったので、その翌日には普通に活動可能だった。


 村長には、今日は休んでくれても構わない、何なら休んでくれ、そう言われたのだが、別に何の問題もないし、そもそも自分の立場があるのでそこは譲らず自分の意見を貫き通した。


 そして、今までの一週間をレクと日替わりで村の周囲を見て回っていた。日替わりで見て回っていた理由はもし村に何かが襲撃してきた時に対抗できる者が私とレク以外いないからだ。


 で、この見回りの結果、やはり村の周囲で何かが起こっているんじゃないか、そういう結論に至った。すでに、最も近くの町の方にこのことは代表の村の者が伝えに言って、すぐに戦力を派遣するとの主旨の伝言をいただいたらしい。それはまだ来てないが。


 見回りをする時に戦ったのは、この付近にいないらしい、C,B級モンスターで、倒したモンスターの種類には一切のダブりがなかった。


 運が良かったこととしては、私がデルベロに勝っていて、ステータスが全体的に押し上げられていたこと。おかげで、C級はレクの助けなしで、B級はレクを連れて一応見てもらいながらも勝つことができた。これはまさに成長チートが大きな効力を発揮してくれているおかげである!


 さぁ、見よ!これが今の私のステータスだ!



 

 名前 ヒメミヤ リンカ


 年齢 17歳


 体力 5670


 筋力 6050


 魔力 9700


 スキル ブースト(1/5)


 魔法適正 無


 加護 武の神(強)、愛の神(強)

    知の神(強)、自然の神(強)



 もう成長チート様々である。ちなみに私ぐらいの年齢のステータスの平均は




 年齢 17歳


 体力 450


 筋力 350


 魔力 700


ぐらいらしい。これでいかに私が強いかがわかるだろう。


 レクには、というか誰にもステータスは見せてないし、あまり見せるものではないようなのだが、私と訓練で武器を交えた感触として


 『リンカさんは驚くぐらい早い成長速度で強くなっているので、B級モンスターとの一対一なら俺が見なくても大丈夫だと思います!』


とのことらしかった。でも、死にたくないし、不安なので一応B級モンスターと戦う時にはレクを連れていたが。


 で、今日も恐らくC級と思われるモンスターと戦った。見た目はバッタのような昆虫を巨大化したような感じで、2mほどある巨体がぴょんぴょんと一回で5,6mほど跳ねながら、口からよく分からない液体、というか唾液のような粘性を持った何かを吐き出してきた。


 その粘液が落ちたところは草が溶けて、地表が剥き出しになっていた。まぁ、この攻撃をする前に2,3秒止まるので、攻撃自体は読みやすかった。なので、手強かったと言えるのは体が思ったよりも丈夫だったことぐらいか。


 そして、最近のこのような変化に伴って、あの子供4人集にする話が増えた。具体的には戦ったモンスターはどんなのだったか、とか戦闘はどんな感じだったか、とか。戦闘の類の話はどの世界でも人気のようだ。


 確かに村の周囲で異変が起きてるけど、この緊張を感じない様子は本当にまだそれほど自立していない子供の良さだと思う。彼らが言うには、


 『レクとリンカがいれば何の問題もない』


ということらしいのだ。実力を信じてくれて嬉しいと思う反面、もう少し緊張感を持ってほしいとも思う。どれほどの成長チートを持っていても、この世界に来てからまだ半年も経っていないという事実は隠す術のないことだから。


 今、レクの家で4人と一緒にくつろいでちる。この様子を見ると何かの脅威が迫ってきているとは思えない光景だ。ちなみに、家主は村の見回りに出ていてこの場にはいない。


 遊んでいる子供を見て、あんな時私にもあったかなぁ、なんて薄れた記憶を遡っている時、


 「レントの街の領主様から、兵が派遣されたぞ!」


 そう叫ぶ村の人の声が聞こえてくる。すると、ゲウラスとレイサは嬉々として家から飛び出していき、その声の方向に走っていく。その後を追うようにリウスとシェリも走っていく。


 (元気がいいなぁ。さて、私も一応見にいきますか)


 私も少しばかり早歩きになりながら、その元に向かって行った。







 「はるばる遠いところからよくきてくださいました。支援に感謝致します」


 そう村長が深々と、銀色が光をよく反射する鎧を着た、いかにも私、戦うことを職業としています、みたいな人に挨拶をする。右頬に深い傷跡が残っており、鍛え上げられたその体はガイエルを超えそうだ。そして、この人からはそこそこな魔力の量を感じる。


 「いや、こちらも領主様がお治めするその領土の民を守ることは仕事のうちだ。感謝されるようなことではない。それよりも、現在の村の状況を聞きたいのだが?」


 「はい。それでは場所を変えましょう。ついてきてください」


 村長が家に向かって歩き出していき、それに男がついていく。


 「お前らはこの村の周りを見守っておけ。後で状況は報告する」


 他の鎧を纏った、恐らく部下に当たる者達にそう言うと、ハッ、と敬礼してすぐに散らばっていく。


 ゲウラスなどの子供達がその様子を見て、カッコいい!なんて叫んでいるのをよそに、村長の方に行く。


 「村長、私も一緒に行こうか?」


 「ふむ、リンカか。確かに居た方が具体的に説明できるな」


 というわけで、私も状況説明の場に同席することになった。


 

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