第10話 魔法、ついにきた!

 やぁやぁ、みんな元気かね?私はとても元気である。この上ない、こともないけどね。やっぱり一番最高だった瞬間は、異世界に来た時ね!


 で、それは置いといてなんでこんなにハイテンションなのか、その理由が気になるだろう。ならない?なら逆に何が気になるんだよ。私の下着か?え、美少女の下着がそんなに気になるかね?まぁ、それを教えるほど優しくないんですけどね。


 「ふっふっふっ、壁を超えた後は成長が早い!もう魔力は私の体の一部よ!」


 「うわー。今まで見てきた中で一番機嫌いいね。ね、ゲウラス」


 「なんで俺に聞くんだよ」


 「えぇ、なんとなく?」


 「純粋にレイサが、ゲウラスがリンカさんに煽られた気持ちが気になるだけでしょ?」


 「えー私、そんな性格悪くないよ」


 「それは嘘ね」


 「え?なんでお姉さんにそんなこと言われるの?ぜっったいにお姉さんの方が性格悪いし!」


 で、まぁ、とりあえず気になっていようがいまいが、私のテンションが高い理由は、魔法使用の第二のステップ『体内の魔力の体外への放出量を自由に操れるようになる』これをクリアして、さらにその先の第3のステップ『体外に出した魔力を自在に操れるようになる』これがもうすぐ、いや、なんならもうクリアしているまである。


 見よ、この私の魔力で作った剣を!長さは1メートルほどのこの剣を!なお、魔力は目に見えない。じゃあ、どうやって見るんだって?決まってる。感じるんだよ、魔力を!

何のための、グッと集中して、体内の流れるものを感じる、っていう訓練だったんだよ!


 「本当に凄いですね。上達速度が普通じゃない。本当に魔法適性が無しかないのが悔やまれますね」


 「おいおい、レクさんや。そんなことは言うもんじゃない。何故なら、私にはそれを超える身体能力がありますから!」


 そう胸を張って言う。


 「ゲウラス、リンカさんの胸見過ぎだよ」


 「えっ、は、はぁ⁉︎別に見てねぇし!」


 「えぇ、ゲウラス、すけべだなぁ」


 「こらこら、シェリにレイサ。気づいてもそんなこと言わないの。男はそういうもんよ。今だって、レクもリウスも私の胸見てるし」


 そう言うと、慌ててレクとリウスは見てないと反論するが


 「いや、その人視線をちょっと辿れば大体どこ見てるか分かるし。否定しても無駄よ。てか私は気にしないし、全然見てくれてもいいけど。ただ、周りがどう思うかは知らないわ」


 そして、自分の足元を見ている2人を見た。


 「大丈夫よ。多分これからだし。多分ね。あと、別にこれがあっても特にいいことないわよ」


 「お姉さんさ、はしたないよ」


 「そうですよ。流石にレイサに同意します。自分の胸を持ち上げるなんて」


 「あら、嫉妬してるの?」


 楽しく談笑しながら、自分の魔力で遊んでいた。


 「って、あっ」


 どうやら私の魔力が枯渇したようだ。


 ちなみに、次に目を覚ました時、ゲウラスとレイサはもちろん爆笑された。


 くっ、次からは気をつけないと。






 「さて、それじゃあ、そろそろ実際に魔法を使ってみましょうか。魔力も普通に扱えるようになったようですし」


 「おぉ!ついにきたか!」


 レクの言葉に興奮を隠さずに言う。


 これを興奮せずに果たして、いられるか?否、もちろん否である!待ちに待った魔法。確かに、火や水を出すような派手なものでは決してないだろう。何と言っても、目に見えない魔力そのものを扱うのである。だが、しかし、私が魔法に求めているのは決して派手さではない!そう、『魔法を使っている』その事実である!


 まぁ、多少は?火とか水とか、出してみたかったけど?あくまでも、ちょっとだけどね!


 「それじゃあ、まず一番初めに扱えるようになってもらう魔法は『身体強化』ですね。これは、魔法の中で最も簡単で、応用が効くものなんです。それに、一般的に多くの人が使えるものですしね!」


 「なるほど。まだ、そうだろうとは思ってたけど。とりあえず、やるわよ!さぁ、どうするのか教えて下さい!レク先生!」


 ちなみに、今日もあの子供達は来ている。この世界には、多少の娯楽はあるけど、地球ほど娯楽は多くないので、やはり暇を持て余すようなのだ。


 え、私?私は全くそんなことはない。魔法でずっと忙しかったし、今も忙しい。


 「まぁ、教えると言っても教えるようなことはほとんどないんですけどね。だって、魔力を身体の強化したい部分に集中させて、それを体外に出していくだけですから」


 「、、、、それだけ?」


 「えっと、はい。無属性魔法は基本的にこんな感じですよ?」


 何だろう、この言語化できない虚しさは。


 (いや、何を言ってるのよ私!ついさっき、派手な魔法じゃなくていいって自分を説得したじゃない!しっかりしなさい!)


 「うん、よし、なら今までみたいに魔力を出すのを応用すればいいのね?」


 「そうですね。そう言うことになります」


 というわけで、どんな感じのものかわかったので、早速実践に移る。


 (魔力を一ヶ所に集めて、それを一気に出す?いや、少しずつでいいのかしら。まぁ、そんなことはやってみてからよ!)


 暇そうに眺めていた、4人集にあまり太すぎない丸太を持ってくるようにいう。


 (まぁ、まずは木を無駄なく綺麗に割ることね。単純で分かりやすい)


 ということで、その4人が持ってきた丸太を地面に立てる。


 「ふぅ、、、、すぅ、、セイッ!」


 手刀全体に魔力を集中させる。大体これぐらいでいい感じにいけるだろう、そう思って振るった手刀は


 ズッバン!


 と音を立てて、木片を周囲に撒き散らし、粉々になった。


 「、、、、ふぅ、強すぎたわね」


 木片が掠り、流れる血を手を払って落とす。


 「なんで、そんな強いの?」


 「まぁ、何事も初めから上手くいかないってことよ」


 そして、この後も身体強化の使用に慣れよう!、ということで何本も粉々にした。


 流石に何回かやればマシになった。


 ちなみにレク曰く、一番最初のやつは、手全体に魔力をあそこまで集める必要はなかった、とのことだった。


 人間は失敗して初めて学ぶことも多いし、しかないわね!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る