第8話 鬼の声 〜国家内乱編〜

「ふん。どいつもこいつもムカつく顔ね。けどお生憎様、私の狙いはあんた達じゃないの。このまま連れてかれても癪だし、私はここで失礼するわ。」


 リツは槍の龍を生み出すとその口の中に入る。


 龍は口を閉じ、横壁に穴を開け、建物を破壊しながら移動していく。


「面倒だな。デリスはニールを医務室に運べ。その他の隊員はこのままキシン・リツを追う。それと…シュウ。お前もデリスと一緒に…」


 カブトはそこまで指示を出し、背後にシュウの姿がない事にようやく気付く。


 (連れ去られたとは考えにくい。音もなければ、争った後もない。と言う事はまさか…)


「カブト、どうやらそう簡単には行かなそうですよ。見て下さい。」


 クロエが指差した方向には、壊れた壁があり、次々に槍の壁が生み出される。いや、それだけではない。ドアすらも破壊され、槍壁で閉じられてしまう。


 イアンはグローブを嵌めると、壁を殴る。凄まじい衝撃と共に爆音が響くが、壁の破壊には至らなかった。


「直線で追うのは厳しそうだね。どうするカブトさん。別々で探す?」


「いや、単独行動は危険だ。2人一組で挟み撃ちにする。ギンと俺はこのまま中央を目指す。アズキとイアンは壁を破壊しながら奴を追え。聞こえているか、シキは奴への経路を逐一送れ。」


『相変わらず人使いが荒いな。まぁ、構わんがどうせ目的地は一つだ。問題はどの経路を通るかだけだからな。』


『ーーーー。』


 刹那、脳裏にノイズが走り、全員が動きを止める。


 やがて、それぞれが確認するようにお互いの顔を見つめる。たった一回の僅かな出来事が何か不吉なものに感じられて仕方がなかった。だが、今は優先しなければならない事がある。


 全員が体調に異常がない事を確認した後、頷きあう。


「さぁ俺達も早く医務室に行きますよ、ニールさん。」


「すみません…ですが急用が出来ました。」


「はは、その怪我で何言ってんの。悪い冗談はやめて…ってちょっと!」


 デリスの忠告を無視し、ニールは突如妖精具を壁から引き抜き、駆け出す。


「あぁあぁ。先にニールさんを止めますよ。」


「動くな。」


 妖精具を発動しようとするギンの前にカブトが立ちはだかる。


「カブトさん。何?どう言うつもり?」


「必要ないと判断したまでだ。俺達は歯車だ。それぞれができる役目をまっとうする。ニールにはニールの役目がある。お前の役目を果たす為に、ニールを止める必要があるのか?」


「ふーん。…相変わらずだね。」


 渋々納得したギンは杖をつく。


「んじゃあ行こっか♪どっちにしても敵を倒せばその時点で終わりでしょ。」


「そうだ。それがお前の果たすべき役目だ。」




 あぁ、どうしてこうなったんだろう。幸せを何もかもを無くしてしまった。辛い日々が続くだけ。何故生きてるんだ。いや、本当はもう終わりにしたい。だけど…。


『いやー!やだやだやだやだ!死にたくない!死にたくないの!』


『どうしてこんな事するんだよ!もう十分だろ!』


『うぅ…もう、帰りたいよぉ!パパ!ママ!」


 まだ生きたかった彼等を肉片にした私がどの口で言えるだろうか。もう楽になりたいからそっちに行きたいなどと。


 これは、母親と父親から聞いた話だが、死後の世界と言うものがあるらしい。死んだ人間が集まって毎日楽しくお喋りをしているらしい。


 彼等もそうだといいな。そう思いながら、今日も1人冷たい部屋の中で呟く。


「あなた達の次の世界が幸福でありますように」


 けど、それはあくまでも人間の話だ。悪い事をした人は心が人でなく鬼になっていくのだ。


 私はもう鬼になってしまたまたのだろうか。鬼になれば、こんな思いはせずに済むだろうか。私にはわからない。


「泣き笑い過ごし♪世界は回る♪悲しい時は思い出せばいい♪あなたの星は空に輝く♪あなたの幸せを歌い続けよう♪」


「うーん?…何の音?」


 耳にやけに残るモーニングコールに目を描きながら体を起こす。


「あ、起きた!こんにちは!」


 甲高い少女の声。どれ程眠っていたのだろう。時刻は既に12時過ぎを指している。


 見知らぬ部屋には色々な玩具が転がっていた。そこそこ広い部屋なのに遊んでいる子供はおらず、中にいるのは私とこちらを覗き込む少女のみ。


「ふふ。笑っちゃうわね。何の実験か知らないけど、目障りよ。消えて。」


「えぇ、私達初対面だよ?いきなりそんな態度取られたら怖いし、傷つくよ。」


 わざとらしい作ったような顔。だけど、彼女の手の震えは本物だ。常に怖がる人を見てきたから分かる。何がしたいのか分からないけど、彼女が恐怖している事だけは分かった。


「はぁ…で?あんた何?」


 今は情報が全くない。いつこの部屋に入れられたのか。何が目的でこいつと同じ部屋に入れたのか。


「私はアサ。イサジ・アサ。あなたの名前は?」


「私は…」


 言い淀む、私にアサはわざとらしく首を傾げてみせる。


 名前…。両親が私に付けてくれた名を今の私が名乗る義理があるのだろうか。帰る場所を失い、帰る体ももうない。


「私はーー。」


 その名前を聞いた時の彼女の顔は今でも忘れられない。苦いものを食べたように顔を歪ませる。


「え?何それ。何かの化学兵器?」


「あいつらがそう言っていたの。私は国で1番の毒に、兵器になるんですって。ほんと最高ね。」


 皮肉を口にする私に彼女は頭を悩ませる。


「じゃあ、リツ!リツって言うのはどう?すごくいい名前でしょ!」


 自慢げに胸を張る彼女がほんの少し鼻にいた。だから、少し意地悪く答えた。


「はっ。何がいい名前よ。一部を取って逆から読んだだけでしょ?…それに随分と短い。」


「じゃあ、リツ・トキシンとかにする?」


「後ろがそのままじゃない!って言うか私は化け物なんだから名前なんて要らないでしょ。」


「えー!確かに初めは嫌な感じで、怖かったけど、今はちょっとはマシになったよ。どこが化け物なの?」


 喉まで出かかった言葉を寸前で抑える。


(なんで、私は躊躇っているの?言えばいい。人殺しの化け物だって。それだけでこいつも離れて1人になれるのに。そうしなかった?まさか私は恐れているの。嫌われる事を。)


「離れてほしくないなんて、笑わせないで。」


 小さな声で呟き、再度アサに向き直る。


(私は隠して生きない。この罪も私だ。それを隠して都合よく人生を偽ろうなんて、殺した人達に顔向けできない。)


「そうね、見た目は普通の人間だもの。けどね、私は人殺しの鬼なの。何人も殺したわ。どれ程命乞いをされようと惨たらしく殺した。それが私よ。」


 これでいい。どこへでも行ったらいい。鬱陶しい人が居なくなって清清する。初めから化け物の居場所なんて人の国の何処にも無い。分かりきった事だ。


「そうだ!じゃあキシン・リツ。どう?すごくカッコ良さげじゃない。」


「は、はぁ!?あんた何言ってんの!私は化け物だって言ってるでしょ。」


「それはもう聞いたよ。でも化け物にだって名前はいるでしょ。だってこうしてリツの名前を呼ぶ私が隣にいるんだから。」


「馬鹿馬鹿しい。勝手にしなさい。」


 本当に変な人。少しは納まったけど、私に分からないと思う。ほんの少し汗と緊張。それに手の震え。本当は怖がってる癖に。強がって馬鹿みたい。


「で?そろそろ聞いてもいいかしら。この部屋について。」


「うん、全然知らない!何が目的なんだろうね。あ、もしかして鬼に金棒的な?」


「どう言う使い方してんのよ。絶対意味間違えてるわよ。」


 彼女の返答は予想通りだった。彼女が知ってようが知らなかろうが、返答は同じだ。


 私達の頭の中には装置が入っている。脳の処理能力などを受け持つ機能もあるが、いざという時の爆弾でもある。だから、彼女は従うしかない。


「忘れて。くだらい質問だったわ。」


 その時、扉のランプが赤から緑に変化し、中に研究者達が入ってくる。


「使命だ。」


「…」


 たった一言。アサは首を傾げていたが、私には聞き馴染みのある言葉だった。戦闘訓練と称した一方的な殺しだ。


「ふふー♪ふふんー♪ふふふ♪」


「…どんだけ、好きなのよ。」


 決まって同じ鼻歌を歌う彼女の見送りにぽつりと文句を言った後、部屋を出た。


 それから朝起きると決まって例の玩具部屋に連れてかれた。ストレス発散や社交性の獲得など色々な可能性を考えたが、どれもここでする実験とは思えなかった。


「あっリツ!おはよう!」


 彼女はいつも私を見るなり、元気な様子で近づいてきた。もう手の震えも緊張もない。


「全く同じ顔ばかりで飽きるわね。」


「えぇ!今日は一緒に本を読もうと思ってたのに。」


「はぁ?物語なんて嫌いよ。私の日常にはなんの助けもないのに、物語ではいつも都合よく誰かが助けてくれる。ほんと見ててイライラする。」


「なになに?もしかして羨ましいの?リツって結構乙女だね。じゃあ、私が誓いのキスを…」


「ぶっ殺すわよ!」


 まるで友人に接するかのような対応に、ひしゃげた鉄板が次第に元の形へと戻って行くようにリツの心の拠り所になって行った。


「いつも…やっぱなんでもないや。」


「は?何よ急に。気持ち悪いわよあんた。」


 ー初めから分かりきっていた事だ。そうなる事は予想していた。でも、願わくばそうならないで欲しかった。ただそれだけの話だ。


「出番だ。」


「はぁ…行ってくるわ。」


「うん。また後でね。」


 今日のアサはどこがよそよそしかさがあった。


 何か嫌な事でもあったのだろう。彼女は何かあっても絶対に口には出さない。気丈に振る舞おうとする。


「逆に心配にするじゃない。…バカ。」


 いつものように妖精具を持ち、心を落ち着ける。扉を潜れば、いつもの殺しだ。彼等と向き合うようにしなければ、彼等に失礼だ。だから心に平穏を保ち、扉を潜る。


「よっ待ったぞ。なになに?準備にこんなに時間がかかるなんて、おめかしでもしてたの?」


 部屋の中にはいつものおどけたような態度で笑みを作るアサの姿があった。


「…っ。そりゃ…そうよね。分かってたわ。ここは化け物を作る施設だもの。化け物に社交性も!ストレス発散も!必要なわけが無い。心を捨てろって…そう言う事でしょ?」


「私ね、ずっとあなたに謝りたかった。…ごめんね。たった一言それだけなのに、ずっと言えなかった。なのにここでは簡単に言える。私はむしろ良かったと思うよ。」


「いい!必要ない!…ふぅ。いいからあなたも早く…ちょっとあなた武器は?」


 そこで気づく。彼女は妖精具を持っていない。どこかに隠し持っている訳でもなく、彼女はただ、困ったように笑っていた。


「えっとね…置いてきちゃった。」


「…ふざけないで!」


 彼女が出てきた扉には既に赤いランプが灯っている。鍵が掛けられている証拠だ。


 リツは振り返り、壁を蹴りながら声を荒げる。


「これは曲がりなりにも戦闘訓練でしょ!だから、戦闘の意思があろうがなかろうが、相手にも妖精具を持たせた!けどこれは違う!ドアを開けなさい!形だけでもその形式を保ちなさいよ!」


「リツ…前に言ってたよね。」


 背後から優しい声が背中に当たる。だが、振り返らずに、ドア越しに抗議を続ける。まるで、声を聞かまいとわざと音を立てているようだ。


「死んだ後は、みんなで楽しくお話をしてるって。」


「…やめて。」


「けど、悪い事をして心が人じゃなくなった人は、そこにはいけないって。」


「…うるさい。」


「私はね、卑怯者なの。誰かの為にって言う理由で周りを騙した。だから、私が死んだ後に向かう先もきっと…」


「黙りなさいって言ってるでしょ!それ以上口を開けばあなたを殺す!」


「…」


 口角を僅かに上げたまま微笑むアサにリツは視線を鋭くする。


「…私に出来ないと思っているの?私は鬼よ、化け物よ!あんたみたいガキ殺すなんて訳ない!」


「うん、それはもう耳タコだよ。」


「…クッ」


 アサに向けた妖精具の切先が震える。アサはそれをじっと見つめると、息を深く吸い込み、優しい音色が響く。


「泣き笑い過ごし♪世界は回る♪悲しい時は思い出せばいい♪あなたの星は空に輝く♪あなたの幸せを歌い続けよう♪」


「…黙れ!」


 放たれた黒槍がアサの頬を掠め、壁に突き刺さる。リツは肩で呼吸をしながら、内に湧き上がる感情が表情となって現れていた。


「怖い顔。…でもリツはやっぱり優しいよ。会って1ヶ月ぐらい。こんなに泣いてくれる人なんて他にいないよ。」


 リツは止まらない大粒の涙をボロボロと溢しながらも、怒りの形相を崩さない。


「なんなの?あんた。くだらない事ばっかで!意味分かんない。星なんて…希望なんてない。おまけに幸せってなに!私への当てつけのつもり?」


「…この歌はね、私が一番好きな歌。辛い時、逃げ出したい時に歌うとね、元気が出るの。だから今リツに歌ったの。泣きたい時はこの歌を思い出して…私を忘れないでねって。」


 カシャンと力なく妖精具が地面を転がる。


「嘘つき嘘つき嘘つき!どうして…こうなるのよ。私が何をしたって言うのよ!…私の幸せは、全部壊れる。私が…壊してる。ーもう無理。………誰か助けてよ。」


 鬼だ、化け物だ。散々言っていた癖に蓋を開けてみればこんなものだ。小さく丸くなって床に顔を伏せながら泣きじゃくっている。どこにでもいる子供だ。


「リツ、お願いがあるの。」


「嫌だ聞きたくない。」


「聞いて。」


 ぐずるリツの頬に手を当てて、顔を上げさせる。


「あなたが…と思ったけど、こんな泣き顔してるような泣き虫には無理ね。リツ、もうちょっと私みたいな大人のレディになった方が良いんじゃない?」


 ニヤッと笑うアサにリツはアサのお腹を殴る。いつもの揶揄うような顔だ。


「ちっ!調子に乗んな!」


「イタタタ…リツ馬鹿力だよ。」


「これでもかなり加減したわ。それで、お願いって?」


 チクチクと痛む腹をさすりながらアサは顔を上げる。彼女の顔ももういつも通りだ。いつもと違うのは涙でぷっくり晴れた涙袋だけだろう。


「あのね、リツが助けを求めたように私達の他にも苦しんでる人が沢山いる。だから、リツが救って上げて欲しい。…私にはその力がないから。」


「…ほんと最後までお節介ね。」


「そう。だって私にとってリツは大切だから。だからリツに幸せになって貰う計画でもあるの。」


 拍子抜けするような言葉に訳もわからず、眉をひそめる。


「は、はあ?人助けで心が満たされるって?冗談でしょ。殺した方が曇りが晴れるわよ。」


 悪態をつく彼女。予想通りの反応だった。でも、違う。


 人を助ける為に行動する事に意味がある。その力を人助けに使っていれば、きっと別の誰かがリツが困った時に助けてくれる。


 だから、これは強がりで口の悪い私の大切な人が1人にならない為の方法なのだ。


「いつか、分かるよ。私が…天才だって。」


 リツに体重を預けるようによりかかるアサをリツが両手で支える。


「そうね…分かったわ。あなたのお願いだもの。無下に出来ないわ。」


「なんか、上手く声が出ないな。もう一回…歌っておこうって…思ってたのに。」


 次第に意識が掠れていく。お腹に痺れるような感覚がある。何故かそれだけははっきり分かった。


「しょうがないわね。一回だけよ。泣き笑い過ごし♪世界は回る♪悲しい時は思い出せばいい♪あなたの星は空に輝く♪あなたの幸せを歌い続けよう♪」


「ふふ、ちょっと…下手だね、リツ。今度…ちゃんと……教えてあげ…るよ。」


 視界が白く、もう前がよく分からない。


「そうね。…あなたの次の世界が幸せでありますように。」


「うん……あ、り…がと….……ぅ」


 その言葉を最後にアサは意識を失った。


「私の能力は便利でね、ある程度であれば色々なものを作れるの。けど、それはある程度。新しく作るには時間がかかる。それでも、こうして眠らせる事ぐらいの力ならすぐ出来るわ。」


 膝の上で眠る、アサの頭を優しく撫でると、その頭をそっと床の上に移す。


「…おやすみなさい。あなたは後にも先にも私にとって一番の友達だったわ。」


 その言葉と共にアサの左胸の内部から数本の槍が突き出た。それは血飛沫を浴びながら、やがて形を変形させていく。最後にそれは、無粋な武器ではなく、一輪の花に形を変えた。




 突如脳裏に過った思い出に自分の胸を抑える。


「どうして、今こんな事を。いや、きっとあんたのせいね。忘れないでなんて、言われなくても忘れれないわよ。‥バカ。」


 目標である場所に出ると、出てきた穴を槍壁で埋める。


「やっとここまで来た。これで全てが。」


 何も無い、中央の巨大な筒状の建物の中にお目当てのものがある。


 だが、そこで景色が歪み、先程ニールと戦った部屋になっていた。


「…ふーん、そう言う事。随分と舐めた真似をするじゃ無い。どうせ見てくれだけの偽物でしょ?この八鏡の制御をしている核。普通なら手詰まりでしょうけど。いいわよ?力比べに付き合ってあげる。」


 ーどうせ、追っ手が来るまで、まだ時間がある。速攻で干渉してあげるわ。


「うわぁぁぁぁ!!」


 情けない悲鳴と共に、上の排気口から1人の少年が落ちてくる。


「あれ…ここは…って来れた!」


 前にいるリツを見て、少年は嬉しそうにガッツポーズを決める。


「あらぁ?誰かとお前ば、震えてたガキじゃ無い。よりにもよって一番弱い奴ね。それで?遊んで欲しいのかしら?」


 リツはこの部屋の攻略を脳に入れられた装置に任せ、自身は妖精具を手に持つ。


「分担している今の私は能力使えないから物凄く弱いわよ?さぁ、どうする?」


「…っ」


 煽るような仕草にシュウも妖精具を構える。そこで、インカムからシキの声が聞こえる。


『焦るなよ。君の場所を他の特使に送った。ここに至るまでの通路の殆どが、槍の壁に阻まれている。君は時間稼ぎをすればそれでいい。』


「でも、ニールさんを倒した人ですよ。そう簡単に。」


 シュウの脳裏にはニールが負けたイメージが深く刻まれていた。それ故にそう簡単に行くとは考えられなかった。


『そうだ。だが、彼女は今、この八鏡の核と君の二つを同時に相手にしている状態だ。どちらかに専念されればそれで終わりだ。だから君は侮られつつも、倒れないようにしろ。』


 正直どうすれば良いのか全然分からないが、やれることを精一杯やるしか無い。


「シキさんの一番弟子、カイドウシュウ!行きます!」


「ははっ!何それ!雑魚が勝負になるとでも思ってるの!」

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