令和五年度 秋草稽古会

上川拓真

vol.1 同じ場所にずっと

今年度の秋草の鍛錬会は11/23に滋賀県の醒ヶ井で実施された。醒ヶ井は旧中山道の宿場町であり、その面影を未だに残している地域である。途中地元のおじさんに20分程絡まれ色々聞いたのだが、水路に藻が生えない夏の頃や雪が降る頃は今よりもっと綺麗だよとのこと。今日来ている人に今の時期ではないと言われているようで少々複雑ではあったが、むしろ人が少なく落ち着いていたため、吟行がしやすい環境であり俳人としてはとても有難い環境であった。


東京から米原までは新幹線で向かう。昭男さんがいつも吟行の際に「同じ場所にじっとそこでたくさん俳句を作れ」と仰っているが、同じ席にじっとしている新幹線に乗ることこそ吟行なのでは?とも思ったがあまりにも景色が早く流れてすぎてしまい難しかった。これでいい句が作れる領域にはまだまだ時間がかかりそうだ。


新幹線を乗り継ぎ米原に着いて、醒ヶ井に向かう電車に乗る。米原から醒ヶ井に向かう電車は少なく、私たちが乗る電車の1本前は40分以上も前の電車だ。句会の開始時間から見てちょうど良い電車(そもそも家から遠すぎてこれより早いと難しい)だと思ったが、これに乗った秋草の会員は14名中4名のみ。地の利なのか、はたまたやる気なのか。どちらにしても羨ましい限りである。


いざ醒ヶ井宿に着くと、至る所で秋草の会員がじっと座りながら吟行をしていた。さすがである。私も一通り歩きながら吟行スポットを探していると、最適なベンチを見つけた。ここで吟行をしよう、そう決心してすぐに隣のベンチに座っていた主宰と目が合う。秋草の主宰、さすがである。

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