ハチャメチャ異能力者転生!銃撃、爆破、なんでもありの異世界バトル!~チート異能力者は転生しても強いままなので追放された美少女魔術師と最強のギルドを作ります!~

@kurekyurio

第1話 転生

 2050年。地球はお茶漬け星から来た侵略者、玉ねぎ星人に襲撃されていた。

 玉ねぎ星人の支配下に置かれると、たちまち人参派になる。

 彼らは肉派を襲い掛かり、完全に玉ねぎ星人の下僕となるのだ。


 人類の大半が人参派にされ、地球の9割が支配下に置かれている。

 そんな状況でも肉の自由の為、抗うレジスタンスが居た。


 だが玉ねぎ星人にアジトを知られて、彼らは襲撃を受けていた。

 レジスタンスの大半が人参化される中、最後まで抗う二人の青年。

 一人は金髪の神をショートにした、長身の青年だ。


 グレーのパーカーに身を包でいる。黒い瞳に希望を宿しながら、走っていた。

 拳銃を片手に玉ねぎ星人を、次々と撃破していく。


「二都先輩! ここはもう無理です!」


 もう一人の青年が、長身の青年、鏡二都に向かって告げた。

 二都とは対照的に小柄で童顔である。黒い前髪を半分上げた青年だ。

 黒いコートを着ながら、背中には剣を背負っていた。


 剣術と銃撃を駆使して、玉ねぎ星人を倒していく。

 だが二人で劣勢を覆すには、無理があった。

 次第に数で圧倒され、二都達は追い詰められていく。


「光夜! お前は脱出ポットに乗り込め!」


 二都はショットガンを片手に持ちながら、光夜と呼ばれた青年に告げる。


「そんな! 脱出ポットは一つしかありません! 先輩はどうなるんですか!?」

「今ここで、全滅する訳にはいかない! お前だけでも生き残るんだ!」

「出来ません! 先輩を置いて、俺だけ生き残るなんて……」


 光夜はそう言いながら、脱出ポットに向かって走った。

 ポットの入口から入り込み、扉を閉める。


「絶対に出来ません!」


 光夜はガムテープで厳重にポットの出口を固めた。

 二都は脱出ポッドを起動するべく、操作盤に向かう。


「光夜、お前は最後の希望だ。絶対に生き残るんだぞ!」


 二都はデバイスを操作して、最後にボタンを押した。

 そこには『脱出ポッド起動ボタン』とラベルが張ってある。


「必ず玉ねぎ星人を倒してくれ!」

「先輩!」


 二都は後輩に後を託した。ポッド脱出後に基地を自爆させるつもりだ。

 少しでも敵の数を減らす為、自ら犠牲になろうとしていた。

 そんな中、基地の中が真っ赤になった。アラートを鳴らしながら、放送が鳴り響く。


『自爆ボタンが押されました。5秒後に自爆します』

「……」


 二都は自分が押したボタン、そのラベルを確かめた。

 そこには『脱出ポッド移動ボタン……。は隣です』と書いてあった。


「ごめん。間違えた」


 大きな爆発音と共に、二都達の意識は途切れた。


──────────────────────────────


「ここは何処だ……?」


 二都は気が付くと、見知らぬ森の中で寝転んでいた。

 五体満足であり、体に傷一つついていない。

 腰にはいくつもの銃が備え付けられている。装備もそのままだ。


「そうか。俺、地獄に来たんだな……」


 自分は確かに死んだと、二都は思っていた。

 まさか長い夢を見ていた訳でもあるまい。

 ここは死後の世界だ。何となくそう思っていた。


 二都は玉ねぎ星人と戦うまえから、命のやり取りをしていた。

 法律上は問題ない。彼は国家権力に従って、凶悪な犯罪者と戦っていたのだから。

 だが罪悪感がないと言われれば嘘になる。


「知らなかったぜ。地獄って、のどかだったんだな」

「そうですね」


 二都は背後に居た、もう1人の青年に気が付いた。

 無言で立ち止まり、ふと思い出す。


「何でお前まで、来てんだよ! 後は任せたつっただろ!」


 二都は振り返りながら、光夜の襟を掴んだ。

 頭を近づけながら、白目をむいて怒声を浴びせる。


「一緒に先輩が吹き飛ばしたんじゃないですか!」


 光夜も負けじと頭を近づけて、大声を上げた。

 二人の記憶は間違って、自爆したころで途切れている。


「やめよう……。まずはこの状況を確かめないと」

「そうですね。玉ねぎ星人はここにはいなようですし……」


 空を覆っていたピーマンが存在しない。

 少なくてもここは自分が知っている場所ではない。

 地獄にしては静か過ぎる。二都は疑問に思いながら、周囲を捜索した。

 

 広がっているのはのどかな、森ばかりだ。

 近くには奇麗な川が流れている。二都は川に近づいて、水をすくう。

 冷たく透明な水が、二都の手から零れ落ちた。


「静かだ。空気も良いし、川も奇麗……」


 二都と光夜は小さな島で育った。

 田舎と言う言葉が合う、自然豊かで人の少ない島だった。

 この場所は故郷を思い出す。小鳥のさえずりが聞こえるこの森が。


「地獄って訳ではなさそうだな」


 二都は軽く水を飲んで判断した。

 だったら天国だろうか? 自分は確かに死んだはずだ。

 いや。例え天国地獄があったとしたら、自分達は地獄行きのはずだ。


 二都は自分の考えを振り払い、周囲の見渡す。

 ここは間違いなく現実の世界だ。

 命がある感触も続いている。自分に何が起きたのか、二都には理解出来ない。


「辺りに人は居なさそうだな……」

「そうですね。虫の声が聞こえるって事は」


 虫は人里離れた、自然で過ごすと二人は考えている。

 その為こんなに虫の鳴き声が聞こえると言う事は。

 付近に人の集落はないと言う事だ。となれば東京でないのは確実だった。


「待て、光夜。僅かに足音が聞こえる……」


 二都は耳を澄まして、音の方向を確かめた。

 規則的な足音が聞こえる。靴が地面を叩く音だ。


「誰か近くに居る……。警戒しながら、様子を確かめよう」

「ええ。玉ねぎ星人なら不意打ちですね」


 二都達は銃を構えて、気配を殺しながら音の方向へ向かった。

 足音はある程度なり続けると、ピタリと止まった。

 まさか気づかれた……? 二都は警戒しながら、木の陰から様子を確かめる。


 足音の代わりに別の音が聞こえてきた。二都はこの音を知っている。

 それはクワをで畑を耕す音だ。漁業の島だったが、畑はあった。

 学校帰りには良くこの音を聞いたものだ。


「農業しているのか?」


 二都は銃を構えたまま、更に音に近づく。

 二都の目に入ったのは、麦わら帽子を被った少女の姿だ。


 ピンクの服を泥だらけにしながら、クリーム色の短パンを履いている。

 赤い髪の毛を風でなびかせながら、慣れない手つきで畑を耕していた。

 奇麗な水色の瞳と薄い色の肌をしている。


「玉ねぎ星人ではなさそうだな……」



 二都は光夜に来るように合図を出した。

 光夜は頷きながら、足音を殺して二都に近づく。

 少女の正体は分からない。二人は警戒を怠らず、構え続ける。


「普通の女の子っぽいですね」

「そうだな……。話しを聞いてみよう。驚かせない様にゆっくり近づいてな」

「気配を殺したら、逆に警戒されるんじゃないですか?」


 二都は光夜の言う事に一理あると思った。

 だが少女が何者か分からない間に、優位性を無くすのは勿体ないとも考える。


「ジッとしていてもしょうがない……。話しかけてみるか……」


 二都はわざと足音を立てて、少女に近づいた。

 少女は一瞬驚いたようだが、怯えた様子を見せない。

 鋭い眼光を向けて、二都達を見つめた。


「貴方達は誰ですか?」


 明らかに警戒。いや敵意を向けた目線だった。

 二都は出来るだけ害がない事を示す為に、両手を上げた。


「驚かせてすまない。君に危害を加える気はないんだ……」


 二都が両手を広げて近づくと、後頭部カチャっと言う音が聞こえた。

 目線を背後に向けると、光夜が拳銃を突きつけている。二都に対して。


「何してんだテメェ!」


 二都は背後を振り返り、光夜を殴りつけた。

 光夜は背後に吹き飛び、木に叩きつけられる。


「ごめん! アイツの事は無視してくれ!」

「無視!? 俺は虫ですか!? チューチュー!」

「それはマウスだ! お前は黙ってろ!」


 二都は咳払いをして、少女へ振り返る。

 少女は警戒心を薄くしながら、拳銃に注目していた。

 強い好奇心を感じる。二都は首を傾げながら、少女を見つめた。


「見慣れない武器ですね……。この辺りの人でありませんよね?」

「見慣れない……?」


 拳銃を知らないとは、珍しい。二都はそう思った。

 凶悪犯罪が増えた現代では、日本でもバンバン撃っているのに。

 

「もしかしてドワーフの新品!?」

「ド、ドワーフ!?」


 二都は背中から嫌な汗を流した。

 彼の反応を無視して、少女は銃に近づく。

 二都は咄嗟に彼女から拳銃を遠ざけた。


「危ないものだから! 近づくんじゃない!」

「え~! ちょっとくらい良いじゃないですか!」

「ダメだ! 素人が触って良いものじゃない!」


 素人と言う言葉に、少女はムッとした。


「失礼な! 私は元帝国上級魔導士! 武器の心得くらいありますよ!」


 少女は胸を張りながら答えた。二都はここである推測を立てる。

 ここは自分達の知る世界とは、別の世界ではないかと。

 それならば少女の言葉にも、説明がつく。


 少女は拳銃を知らない。もし暴発したら大変だ。

 二都は少女から離れて、拳銃をしまった。

 少女は『ちぇ~』っと言いながら、残念そうに俯いた。


「そろそろ名乗って良いか?」

「あ、はい。貴方達は何者ですか?」


 二都はどう答えるべきか迷った。

 ここで本来の素性を明かしても、信じてもらえるとは限らない。

 もし本当に異なる世界に来たなら、常識が通じるはずがないのだ。


「俺は二都。後ろで拗ねているのが光夜だ」


 光夜は四つん這いになりながら、ダンゴムシを眺めていた。

 

「私はユウミです。今はここで、農家のお手伝いをさせてもらっています」

「ユウミね……」


 二都は彼女の名前に、僅かな反応をした。


「どうかしました?」

「いや。昔の知り合いと同じ名前だなっと思って」


 この出会いは運命だった。二都がそれを知るのは、もっと先の事となる。

 

「二都さんに光夜さんですね! よろしくお願いします!」


 ユウミは無邪気な笑顔を向けながら、手を差し伸べて来た。

 二都差し出された手を、優しく握り返す。

 懐かしいような、優しいような感覚に包まれる。


「ああ。宜しくな!」

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