第六話 帝王容疑者となる
「そんな、奇跡の名馬君が犯人だなんて」
『て、帝王が下着泥棒! どうしてそんなことをしたのさ! 私は帝王をそんな風に育てた覚えはないよ!』
担任の愛馬先生とハルウララが驚きの声を上げた。
非常に不味いことになった。このままでは、冤罪をかけられてしまう。
「立て」
椅子から立ち上がるように言われ、俺は彼の指示に従う。すると、
「俺が抑えている間に調べろ、
「了解」
「うーん、彼の手元にはないみたいだね。変態なら、肌に離さず持ち歩いていると思っていたのに」
「机や鞄の中を調べろ」
怪しい場所を探すように指示を出されると、
「おや? これは何かな?」
「決まったな。お前が犯人だ」
「待て! 確かに俺はブラジャーの存在を知っていた! だけど冤罪だ! 知らない間に鞄の中に、それが入っていたんだ!」
「言い訳は警察に言ってくれ」
俺は犯人ではない。なので、冤罪だと言うことを告げる。だが、彼らは聞く耳を持ってくれなかった。
『待って!』
そんな中、ハルウララだけが制止の声を上げた。
ハルウララ、なんやかんや言っても、お前は俺の味方なんだな。
『愛馬先生! カツ丼の用意をお願い!
有無を言わせない勢いを言葉を捲し立て、なぜか3人はハルウララの指示に従う。
しばらくしてカツ丼と照明が用意されると、机の上に置かれた。
『さぁ、吐くんだ! このウララ
ウララ仮面にシャーロックウララの次はウララ
照明の光を当てられ、眩しい思いをした俺は目を細める。
「やめろ、俺は本当に何もしていない! 知らない間にブラジャーが入れられていたんだ!」
『犯人はみんな自分はしていないと言うものだよ!』
事実を話しているのにも関わらず、ハルウララは信じてくれない。
『さぁ、そろそろお腹が空いて来た頃でしょう? 帝王が犯行を認めてくれたら、食べさせてあげるよ』
確かに体育の授業で体力を使ったから、少しは空腹になっている。だけど、俺は本当に下着泥棒なんて犯行をしてはいない。
「だから、俺は冤罪だと言っているじゃないか」
『自分はしていないの一点張りだね』
「当たり前だろう。事実なんだから」
『そっか。うーん、ウララ
何か妙案が浮かんだと言いたげな口調で言葉を放った後、ハルウララが体を反転させる。
『私は帝王のその言葉が聞きたかった。これから先はこのシャーロックウララが、この事件を解決しようではないか』
「いや、嘘つけ! 刑事ごっこに飽きたから、別の遊びを始めただけじゃないか! 今の俺の現状は、お前の暇潰しをするためにあるんじゃないんだぞ!」
本当に余裕がなかったので、思わず声を上げる。
「茶番は済んだか? なら、早速警察に通報するか」
不味い。本当に警察を呼ばれでもしたら、冤罪であっても社会的に死ぬことになる。どうにか、それだけは阻止しなければ。でも、どうやって。
必死になって思考を巡らせるも、良いアイディアが思い付かない。
『うわー、本当に帝王が犯人だと思っているんだ。それもそうだよね。だって、真犯人が見つけられないのを隠したいから、帝王を犯人にすれば良いと言う浅はかな考えなんだ。本当に格好悪い。それでも、風紀委員長なの?』
「何?」
「お前、今なんて言った?」
『だから、真犯人を見つける自信がないから、帝王を犯人にしたいだけなんでしょう? 自信がないのなら、正直に言えば良いのに。本当に君って男はダサいね』
「何を言っている。俺は様々な証言から、このクラス内に犯人がいることを突き止めた。そして
『チ、チ、チ、甘いよ。和菓子並に甘い。帝王は犯人ではない。私は彼の表情でそれに気付いた。真犯人は他に居る。真犯人をこのシャーロックウララが突き止めようではないか。真犯人を見つけることのできない凡才の君に代わってね』
「良いだろう。もし、真犯人を見つけることができれば、
『分かった。それで良いよ』
「ちょっと待て! 俺の意思に関係なく勝手に話を進めないでくれ」
こうして、俺の冤罪を照明するために、ハルウララの犯人探しが始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます