鉄人
鷹簸
鉄人
たばこのにおいが風に揺られ私の鼻を刺激した。
前の中年小僧が喚く。
「ここは禁煙地域だ!」
されどその声は届くことなく流れてゆく。あの煙のように。
私は思うのです。何だかんだ言って誰かに期待している奴ばっかりだと。
隣国の行動に対しては、「国」がどうにかしてくれる。
溢れるゴミを眺めては、「業者」がなんとかしてくれる。
騒ぐ外人を見流しては、「誰か」がなんとかしてくれる。
ちょっと考えればわかることです。
一人間であるあなたが思つくのであれば他人も思いつくものです。
そんなことすらも忘れて、ネットで愚痴る。
正義感だけが溢れる人間と宣伝する。
情報は拡散され、民衆は「そうだ!そうだ!」と賛同こそするものの、
じゃあ署名に参加してくださいと言えば賛同は1%を割るだろう。
氷のような人間ばっかりの社会。
利益が得られなければやらないのに他人には巨額な見返りを求める。
人の温もりを受けて育ったはずの我々はいつの日か鉄人になる。
我慢に対してだけは強靭な心を持ち、
行動しようにも脚が自身を止め、
口を開けば言い訳が出る。
それでも私たちは夢を見る。
「やればできる」と。
「誰かがやる」と。
「明日ある」と。
鉄人 鷹簸 @tacahishi-13
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます