第110話 正しさ④
正しさ④
目で追えないほどのスピードの戦いに自分の無力さを感じる。でも、この戦いについていけたら、私は強くなるんだ。
「動きは、集中…」
集中して見てみると少しずつ見えてくる。3人は別々の動きをしているが、結局やっていることは一緒。1人が凸って御影さんに当たりに行き、1人がいつでも援護に入れるように。そしてもう1人が戦況を見ている。それを繰り返しているのだ。
ここに私が入るところは…不意打ちとかかな?占星団の皆さんは強いから急に入っても合わせてくれると思うけど、それで迷惑だけはかけたくない。
「どーしよっかなぁ?」
そうやって悩んでいると、影が1つ増えた。入ったのは村井さん。はとこ山のときに一緒だった人だ。この人も刀を使うからよく覚えている。たしか忍者みたいな動きをしていたような。
それでも御影さんに軽くあしらわれて、体勢を崩す。有彩さんが助け出した。
「そんな感じでいいです。私たちに合わせに来てください。合わせるので。」
私たち全員に聞こえるように言う。そうか。入っていいのか。
私は水蓮で素早く隙をつきに行く。
「やっと来たね。」
「すみません。ちょっと躊躇いました。」
「それでいい。後悔が君を大きくする。」
軽く交えながら会話して、スピードを上げていく。すぐに竹刀の感覚がなくなり、衝撃を感じなくなった。御影さんの竹刀の筋が見えるし、感じることが出来る。
一瞬視界が真っ暗になって、光の筋が通った。すぐに元の視界に戻って気づいた。今、未来を見たのだ。さっきの光の筋のとおりに竹刀が振り下ろされる。私は余裕を持ってそれに反応した。
「やめ。」
御影さんがそう呟くと、占星団の皆さんが離れる。私も離れようとしたけど、御影さんが「待て」って言ってきた。
「今、何が見えた?」
「御影さんの刀の筋です。」
「未来のか?」
「はい。」
御影さんはふっと笑う。この人にも笑うことがあるのだと初めて知った。
「今の感覚を忘れないようにしろよ。それか、強制的に育てることもできるが、どっちがいい?」
強制的に育てるってどういうことか分からないが、それが1番早く成長する方法なんだろう。そうと決まれば、選択肢は1つしかない。
「強制的に育ててください。」
「分かった。有彩。持ってきてやってくれ。」
「了解です!」
「皆さんは一旦休憩で…」
「いや、」
手を挙げたのは穿だ。さっきまでと明らかに目が違う。何かを確信したようなそんな目だ。
「御影さん。受けてください。」
「分かった。来い。」
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